「地球空洞説」とは…古代から伝わる地球空洞説の真相

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イメージ画像 Created with DALL·E

 地球は空洞なのか? この疑問は、何世紀にもわたって人々の興味を掻き立ててきた。長らく地球空洞説は単なる仮説だったが、1968年に人工衛星が撮影した北極の写真に巨大な穴が写っていたことから、議論が再燃した。地球空洞説とは一体…。 古代の言い伝えや著名な科学者の理論、そして現代科学の見解を交えながら、その真相に迫りたい。

地球空洞説を支える「証拠」たち

 1970年代初頭、アメリカ商務省のESSAプロジェクトが公開した北極の写真は、地球空洞説支持者にとって格好の「証拠」となった。北極点があるはずの場所に巨大な穴が写っていたのだ。この写真は、UFO研究家レイ・パーマー氏らの主張を裏付けるものとして注目を集めた。彼らは、UFOは高度な文明を持つ地下世界から出入りしていると考えていたのだ。

 さらに、アメリカ海軍のリチャード・E・バード少将の極地探検も、地球空洞説と結びつけられるようになった。アマデオ・ジャンニーニの著書『Worlds beyond the Poles』などで、バード少将は極点の向こう側、つまり地球内部の別世界へ入ったと主張されたのだ。パーマー氏はこの説を自身の雑誌で紹介し、読者から大きな反響を得た。

 ジャンニーニ氏とパーマー氏は、バード少将が1947年の北極探検で、雪原ではなく山や森林、川や湖、そしてマンモスのような動物を目撃したという無線報告をしたと主張。さらに、1956年の南極探検後には、南極点を超えて3700kmを探索したと発言し、死の直前には「空に浮かぶ魅惑の大陸」と表現したとも述べている。地球空洞説支持者にとって、これらの「証言」は、地球がドーナツ状で、極点に巨大な穴があり、内部世界へ繋がっているという説を裏付けるものだった。

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画像は「The Ancient Code」より

古代文明と地球空洞説

 地球空洞説は、古代文明の言い伝えの中にも見られる。バビロニアの英雄ギルガメッシュが地球の奥底で祖先に会った話や、ギリシャ神話のオルフェウスが冥界から妻を救出しようとした話、エジプトのファラオがピラミッドの秘密トンネルを使って冥界と交信していたという話、そして仏教で信じられている地下の楽園アガルタの存在など。これらの話は、地球内部に未知の世界が存在するという発想が、古くから人類に共通していたことを示唆している。

18~19世紀の科学者とSF作家たち

 18世紀の数学者レオンハルト・オイラーは、地球は空洞で、中心に太陽があり、人が住んでいると考えた。ハレー彗星の発見者エドモンド・ハレーも、地球内部には3つの「層」があると信じていた。これらの説は科学的に証明されていなかったが、エドガー・アラン・ポーの『ナンタケット島出身のアーサー・ゴードン・ピムの物語』(1838年)やジュール・ヴェルヌの『地底旅行』(1864年)といったSF小説に影響を与えた。これらの作品は、地球空洞説への関心を高め、地球内部に未知の世界が存在する可能性というロマンをかき立てた。

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画像は「Amazon」より

現代科学の見解と北極写真の真相

 20世紀の技術革新により、地球の内部構造は地震計や電子機器で正確に測定できるようになった。研究者たちは、地球は空洞ではなく、地殻、マントル、外核、内核の4つの層から構成されていると結論づけている。地殻は花崗岩と玄武岩で厚さ30~40km、マントルは約2900kmまで続き、マグネシウム、鉄、カルシウム、アルミニウムのケイ酸塩でできている。その下には溶けた鉄でできた外核があり、さらに深さ約5090kmには、高圧で固化した鉄でできた内核があると考えられている。

 では、北極の写真に写っていた巨大な穴は何だったのか? 実は、これは人工衛星が24時間かけて撮影した画像をモザイク状に合成したもので、北極点を中心とした完全な地球の姿を見せるための処理がされていた。赤道付近は太陽光が当たって明るく見えるが、極点付近は暗闇に包まれていたため、写真の中央が黒く写っていたのだ。つまり、北極に穴はなく、地球は空洞ではない。

 バード少将が言及した「極点の向こうの土地」や「大いなる謎」は、地球内部ではなく未開の地を指していた可能性がある。「空に浮かぶ魅惑の大陸」は、南極でよく見られる蜃気楼現象を指していたのかもしれない。

 地球空洞説は、科学的に否定されたものの、人々の想像力を刺激し続ける魅力的なテーマだ。古代の言い伝えから現代の陰謀論まで、地球空洞説は様々な形で語り継がれている。私たちの知らない地底深くで、高度な文明が栄えているとしたら…そんな空想を膨らませるのも、また楽しいかもしれない。

参考:The Ancient Code、ほか

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