“陰謀論を信じやすい人”の特徴とは?睡眠の質との意外な関係性

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「陰謀論を信じるかどうか」と「睡眠の質」には、意外な関連があるかもしれない。英・ノッティンガム大学の研究チームが行った最新の研究によると、睡眠の質が悪い人ほど、陰謀論を信じやすい傾向があることが明らかになったという。

 研究チームは、睡眠不足がもたらす心理的影響に注目。特に不眠がうつ症状と関連していることが、陰謀論を信じやすくする要因になっている可能性が高いと指摘している。

陰謀論と睡眠の関係を探る ― なぜ人は陰謀を信じるのか?

 陰謀論に関する科学的研究は、近年ますます活発になっている。これまでの研究では、陰謀論が「心理的な報酬」として機能し、人々の不安を和らげる側面があることが指摘されてきた。また、AIを使って新型コロナウイルス関連の陰謀論の拡散パターンを分析する試みも行われている。

 一方で、「どのような人が陰謀論を信じやすいのか?」という疑問についても研究が進められている。例えば、自閉症スペクトラムとの関連を調査した研究では、特に影響がないことが確認された。また、2021年の調査では、陰謀論が頻繁に拡散されるX(旧Twitter)のユーザーは、実は他のSNS利用者よりも陰謀論を信じにくいという意外な結果も出ている。

 そして今回の研究では、睡眠の質と陰謀論の関係に焦点が当てられた。

睡眠不足が陰謀論を信じるリスクを高める?

 ノッティンガム大学の心理学チームは、1000人以上の被験者を対象に2つの異なる実験を実施した。

【第1の実験】
 540人の参加者に睡眠の質を評価するアンケートを実施。その後、参加者に2019年のパリ・ノートルダム大聖堂火災についての記事を読んでもらう。

 記事は2種類あり、一方は「事故」として書かれたもの、もう一方は「意図的な放火による陰謀」とするものだった。

 結果、睡眠の質が低いと報告した人ほど、陰謀論のバージョンを信じる傾向が強かった。

【第2の実験】
 575人を対象に睡眠の質と心理的要因(うつ、不安、妄想など)との関連を調査。結果、不眠症や睡眠の質の低さは、陰謀論的思考と正の相関があることが判明。

 さらに、うつ症状がこの関連において重要な役割を果たしている可能性が高いことも示唆された。

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画像はUnsplashTom Radetzkiより

睡眠の質が「陰謀論耐性」を高める?

 研究チームは、睡眠を改善することが陰謀論的思考に対する「防御策」になり得ると指摘する。

「睡眠は、精神的健康と認知機能にとって不可欠な要素だ」と語るのは、研究チームを率いたダニエル・ジョリー助教授。

「睡眠不足は、うつや不安、妄想のリスクを高める。それらは陰謀論を信じる心理的要因とも一致する。我々の研究は、睡眠の質を向上させることで、陰謀論の影響を受けにくくする可能性があることを示唆している」と述べている。

 近年、アメリカ国防総省の研究機関DARPA(国防高等研究計画局)も、兵士の戦闘パフォーマンス向上を目的に「睡眠の最適化」に関する研究を進めているほど、睡眠が脳機能や判断力に与える影響は大きい。

 陰謀論に踊らされるか、それとも冷静に判断できるか――その分かれ道は、意外にも「睡眠の質」にあるのかもしれない。

 質の良い睡眠が陰謀論からの最強の防御策になる?

 今回の研究は、睡眠の質が思考や信念の形成に深く関係していることを示した。陰謀論にハマるリスクを減らしたいなら、まずは「ぐっすり眠ること」から始めるのが良いのかもしれない。

 さて、あなたの睡眠の質はどうだろうか?

参考:The Debrief、ほか

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文=深森慎太郎

人体の神秘や宇宙の謎が好きなライター。未知の領域に踏み込むことで、日常の枠を超えた視点を提供することを目指す。

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