陰謀論を信じる人は「傲慢」だった? “過剰な自信”がカギと研究で判明

画像はUnsplashTom Radetzkiより

「地球は平面だ」「世界は密かに爬虫類人間に支配されている」――。世の中には、にわかには信じがたい、しかし熱狂的に信じられている陰謀論が数多く存在する。

 なぜ彼らは、専門家や社会の大多数が否定する突飛な主張を、あれほどまでに確信するのだろうか? その謎を解き明かす鍵は、彼らの「過剰な自信」にあるのかもしれない。コーネル大学の最新の研究が、そんな興味深い事実を突きつけた。

陰謀論者の共通点は「根拠なき自信」

 この研究は陰謀論を信じる人々の心理を理解するため、4000人以上のアメリカ人を対象に行われた。参加者たちは様々な認知テストを受けた後、「自分がどれだけうまくできたか」を自己評価した。

 分析の結果、陰謀論を強く信じる人ほど、テストの実際の成績は低いにもかかわらず、「自分は非常によくできた」と思い込む傾向が強いことが明らかになった。つまり、彼らは自らの認知能力に対して「過剰な自信」を抱いているのだ。

 研究チームは、この「過剰な自信」のスコアと、「月面着陸は捏造だ」「ワクチンは政府の陰謀だ」といった陰謀論への支持度を比較。その結果、両者の間には強い関連性が見られたという。

「みんなもそう思っている」という大きな勘違い

 さらに、この研究はもう一つの衝撃的な事実を明らかにしている。それは、陰謀論を信じる人々が、自分の意見が多数派であると著しく勘違いしていることだ。

 調査では、実際に陰謀論を信じていた参加者は全体のわずか12%だった。しかし、当の本人たちは「10人中9人は自分と同じ意見のはずだ」と信じ込んでいたのである。この心理は「偽の合意効果」と呼ばれ、特に「過剰な自信」を持つ人々の間で顕著に見られた。

 研究者であるゴードン・ペニーコック准教授は、「陰謀論者の特徴は、単に信念の根拠が乏しいだけでなく、その信念に驚くほど自信を持っている点にあるようです」と語る。彼は、この過剰な自信こそが、人々を陰謀論の「ウサギの穴(一度ハマると抜け出せない深い世界)」へと引きずり込むのではないかと指摘する。

イメージ画像 Created with AI image generation (OpenAI)

なぜ彼らの心を変えるのは難しいのか

 この研究結果は、「陰謀論者は自分が少数派であることを自覚し、むしろそれを楽しんでいる」という、これまで一般的だった見方を覆すものだ。ペニーコック准教授は、「彼らは自分の信念がどれほど少数派であるかを全く認識しておらず、その物差しが大きく狂ってしまっているのです」と述べる。

 この発見は、偽情報やフェイクニュース対策の難しさをも浮き彫りにする。なぜなら、最も助けや介入を必要としている人々こそが、自らが間違っている可能性を最も認めようとしないからだ。

 彼らの心を変えようと議論を挑んでも、平行線に終わることが多いのは、単に意見が違うからではない。彼らが持つ「自分は正しい、そして自分と同じ考えこそが多数派なのだ」という、強固で、しかし根拠の薄い自信が、大きな壁となって立ちはだかっているからなのかもしれない。

参考:Daily Mail Online、ほか

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