触れただけで失明、雨宿りすら痛みを伴う“世界で最も危険な木”「マンチニール」とは

見た目はごく普通の木なのに近づいて触れるだけで火傷や失明しかねず、ましてや一見美味しそうな実を食べたりしようものなら命を落としかねないという「世界で最も危険な木」がアメリカ大陸で自生している――。
■触れただけで失明する「世界で最も危険な木」
有毒な植物といえばスイセンやトリカブト、イヌサフランなどが知られており、誤って食べると吐き気、下痢、しびれ、呼吸困難などの症状を引き起こし、最悪の場合は死亡する危険性もある。
しかしそんな有毒植物の中でもきわめて危険な熱帯樹木が南北アメリカ大陸で自生している。
米フロリダ南部、中央アメリカ、南アメリカ、カリブ海の一部で繁茂するマンチニール(manchineel)は、地球上で最も危険な樹木であり、一度触れただけで一時的な失明を引き起こす可能性すらあるのだ。
マンチニールの木の果実は甘そうに見えるが、間違って食べてしまうと命を落としかねないことから「死の小さなリンゴ」というあだ名が付けられている。

マンチニールの木は、通常、海岸や汽水域(淡水より塩分が高く、海水より塩分が低い水)に群生している。また高さは15メートルにも達する雄大な巨木でもあり、果実は心地よい香りを放ち、動物、そして時には人間をも誘い寄せる。
マンチニールの木に触れると何が起こるのか?
マンチニールの木はあらゆる部分が有毒であるため、基本的に近づいてはならない。一度触れるだけで、重度の皮膚炎や眼の損傷を引き起こし、一時的に失明することもある。雨が降っているときにマンチニールの木の下に立っているだけでも痛みを感じることがあるという。また燃やした際の煙も有害であるため、焚火に使うのも厳禁である。
マンチニールの果実も同様に危険で、間違って食べると死に至ることもある。摂取した場合の症状は以下のようなものだ。
●口や喉の周りの水ぶくれや腫れにより、呼吸や嚥下が困難になる
●低血圧などの心血管系の問題
●消化管の損傷
●嘔吐
●腹部出血
●脱水
興味深いことに一部のイグアナやガラパゴスゾウガメなどの動物は、この毒に耐えられるように適応している。
たとえばツナギトゲオイグアナはマンチニールの実を食べることが知られており、さらにマンチニールの枝の上で生活している。

またマンチニールの生息域に住む人々も、この毒を安全に利用する方法を見つけ出している。
カリブ海では木工職人がマンチニールの木材を伐採し、天日干しして樹液の毒性を中和し、家具作りに利用している。
また地元のハンターや戦士が矢尻にこの猛毒の樹液を塗ったという伝説も残っており、未確認ではあるが、中世後期のスペイン人探検家、フアン・ポンセ・デ・レオン(1474-1521)は先住民が放ったマンチニールの樹液を仕込んだ毒矢で命を落としたと言われている。
日本には自生していないマンチニールだが、フロリダやメキシコなどを訪れる際は知っておかねばならないだろう。そしてもちろん、身近に生えている有毒な植物にもじゅうぶんに注意したい。
参考:「Mental Floss」ほか
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2024.10.02 20:00心霊触れただけで失明、雨宿りすら痛みを伴う“世界で最も危険な木”「マンチニール」とはのページです。毒、フロリダ、樹木、失明などの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで