地球に激突し「月」を生んだ巨大天体“ティア”。その正体がついに判明?故郷は意外な場所だった

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 地球に衝突し、現在のを生み出したとされる巨大天体「ティア(Theia)」。火星ほどの大きさを持つこの天体が一体どこからやってきたのか、長年の謎についに答えが出されたかもしれない。

 最新の研究によると、ティアは太陽系の外側ではなく、内側――それも地球よりも太陽に近い場所から飛来した可能性が高いという。これは、私たちの住む太陽系がどのように形成されたのかを理解する上で、非常に重要な手がかりとなる。

月の誕生とティアの謎

 約45億年前、原始地球に巨大な天体ティアが衝突し、飛び散った破片が集まって月が形成されたとする「ジャイアント・インパクト説」は広く知られている。しかし、衝突したティアが元々どこで生まれたのかについては、長い間議論が続いてきた。

 惑星や衛星は、生まれたばかりの星を取り巻くガスや塵の円盤(原始惑星系円盤)の中で形成される。この円盤内の物質は場所によって成分が異なるため、天体に含まれる化学的な痕跡(同位体)を調べれば、その天体が太陽系のどこで生まれたかを推測することができる。

地球と月、「双子」のような成分の一致

 これまでのモデルでは、月は主にティアの残骸から作られたと考えられてきた。だとすれば、月と地球の岩石成分には明確な違いがあるはずだ。しかし、実際にアポロ計画などで持ち帰られた月の岩石を分析すると、驚くべきことに、酸素同位体比などが地球とほとんど同じであることが判明したのだ。

 この「成分が似すぎている」という事実は、研究者を悩ませてきた。考えられるシナリオは主に3つ。

1. 月はティアではなく、衝突された地球の破片から主に作られた。
2. 衝突の衝撃で両方の物質が完全に混ざり合った。
3. そもそもティアは、地球のすぐ近くで生まれた兄弟のような天体だった。

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太陽に近い場所から来た来訪者

 今回、研究チームはこの謎を解くために、地球の岩石、月のサンプル、そして隕石に含まれる鉄などの同位体データを詳細に再分析した。その結果、地球と月はどちらも、太陽系内側由来の隕石(非炭素質隕石)と最も成分が近いことが確認された。

 さらに、鉄、ジルコニウム、モリブデンといった微量な同位体のわずかな違いを追跡することで、研究チームはティアの起源を特定した。ティアは地球と同じく太陽系の内側で形成されたが、地球よりもさらに太陽に近い領域からやってきて、形成から約1億年後に地球に衝突したと結論づけたのである。

 長年の謎であったティアの正体が明らかになったことで、太陽系初期の激動の歴史と、私たちの地球や月がどのように現在の姿になったのかという壮大なドラマが、より鮮明に見えてきたと言えるだろう。

参考:The Debrief、ほか

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