古代エジプトの「戦慄の呪い」5選!ヒエログリフに残された“背筋が凍るメッセージ”の正体

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古代エジプトの書記(作者不詳)。所蔵:The British Museum。出典:egyptarchive.co.uk(Jon Bodsworth)Wikimedia Commons(Copyrighted free use)

 古代エジプトの文字文化は5000年以上の歴史を持ち、神殿や墓を飾るヒエログリフ(神聖文字)は長らく神秘のベールに包まれていた。19世紀にシャンポリオンによって解読されて以降、私たちはそこに記された神への祈りだけでなく、墓荒らしや敵対者へ向けた恐ろしい警告をも知ることとなった。

 ここでは、解読された碑文の中から、現代人の背筋も凍らせる5つの特筆すべき呪いを紹介しよう。

1. アメンホテプ王の墓:現世と来世、すべての否定

 王家の谷にあるアメンホテプ王の墓(※複数の王墓や碑文の記録をもとに語られている)には、侵入者に対して容赦のない破滅を宣告する碑文が残されている。そこには、単なる脅しを超えた具体的な苦痛が列挙されているのだ。

「墓を荒らす者は、地上の富を失い、海で溺れ、灼熱の炉で焼かれるであろう」

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Keith Schengili-Roberts – Own Work (photo), CC 表示-継承 2.5, リンクによる

 さらに恐ろしいのは、肉体的な死だけではない。「後継者も墓も葬儀もなくなり、骨すらも朽ち果てる」と記されている点だ。古代エジプト人にとって、葬儀が行われず肉体が消滅することは、永遠の命(来世)を絶たれることを意味する最大級の罰であった。現代においてこの呪いが発動した形跡はないが、当時の人々にとっては死以上の恐怖だったに違いない。

2. サレンプット1世の墓:執拗で残酷な報復

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サレンプット1世の岩窟墓(クベト・エル=ハワ/エジプト・アスワン)入口。撮影:Olaf Tausch(CC BY 3.0) Wikimedia Commons

 第12王朝の有力者サレンプット1世の墓に残された呪いは、その具体性と執念深さにおいて群を抜いている。彼は墓内の神像への供物を盗もうとする者に対し、次のような凄惨な運命を突きつけた。

「その腕は雄牛のように切り落とされ、首は鳥のようにねじ切られるだろう」

 呪いは本人だけに留まらない。「地位も、家も、子供たちも火に投げ込まれる」とし、さらには「私は水の中ではワニとなり、陸ではヘビとなって襲いかかる」と宣言している。死してなお、あらゆる姿に変じて墓を守ろうとする執念が、ヒエログリフを通してひしひしと伝わってくる。

3. サッカラのマスタバ墳墓:「鳥のように首を絞める」

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イメージ画像 Created with AI image generation

 サッカラには、「マスタバ」と呼ばれる長方形の平らな屋根を持つ墓が多く存在する。ここの墓のいくつかには、共通して非常に生々しい身体的苦痛を与える警告が刻まれている。

 ケンティカ・イケキやアンクアンマホルといった高官の墓にあるのが、「不浄な者が墓に入れば、鳥(ガチョウ)のように首を絞め上げる」という表現だ。また、「幽霊を見せて恐怖で満たす」といった精神的な攻撃を示唆するものもある。神官であり魔術に精通していたとされる被葬者たちの言葉は、墓荒らしに対して「魔術による報復」を明確にチラつかせている。

4. 呪詛文書(Execration Texts):敵を葬るための儀式

 墓に刻まれた守りの呪いとは異なり、積極的に敵を攻撃するための「呪詛文書」と呼ばれるものも存在する。これは紀元前24世紀頃から見られるもので、陶器の人形や壺に敵対する国や人物の名前を記し、それを破壊して埋めるという儀式に使われた。

 陶片には「ナイフで殺戮せよ」「槍で打ち倒せ」といった過激な言葉が並び、近隣の敵対勢力に対する憎悪と、呪術的な力で相手を無力化しようとする意図が込められている。これは単なる文字ではなく、破壊されることを前提とした呪術の道具そのものであった。

5. シェイク・アブド・エル・クルナの碑文:海を渡った呪いの石

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画像は「Listverse」より

 最後に紹介するのは、現代の博物館に収蔵されている石碑の事例だ。かつてテーベ(現在のルクソール)の墓地にあった石板には、次のような警告が記されている。

「中の小石一つでも外へ持ち出してはならない。もし持ち出せば、神々の怒りに触れるだろう」

 興味深いことに、この「持ち出し厳禁」と書かれた石自体が、現在スコットランド国立博物館に展示されている。石板の警告を無視して海を渡ったわけだが、今のところ関係者に大きな災いが降りかかったという話は聞かない。しかし、考古学的な発見の裏には、こうした古代人の静かなる怒りが今も眠っているのかもしれない。

 これらの呪いは、現代の私たちからすれば単なるオカルト話に聞こえるかもしれない。しかし、その根底にあるのは、死後の安寧と永遠の命を何よりも重んじた古代エジプト人の切実な願いだ。彼らがヒエログリフに込めたのは、悪意というよりも、自らの存在が忘れ去られることへの根源的な恐怖だったのかもしれない。私たちが遺跡に足を踏み入れるとき、そこには数千年の時を超えた「魂の叫び」が刻まれていることを、決して忘れてはならないだろう。

参考:Listverse、ほか

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