深淵に魅せられたダイバーたちの悲劇の記録… 視界と正気を失い、自ら最期を早めた「究極の選択」の真相

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 スキューバダイビングは、日常では味わうことのできない美しさと興奮を私たちに与えてくれる。しかし一歩間違えれば、そこは音も光もない、逃げ場のない監獄へと変貌する。世界には「ダイバーの墓場」と呼ばれる危険なスポットが点在し、熟練のダイバーですら命を落とすことが少なくない。

 2000年にエジプトの「ブルーホール」で起きた事故、そして2002年にクロアチアの洞窟で起きた悲劇。カメラが捉えた最期の瞬間と、極限状態でダイバーが下した壮絶な決断とは。

「ダイバーの墓場」ブルーホールの罠と窒素酔いの恐怖

 エジプトの紅海沿岸にある「ブルーホール」は、潜水愛好家にとって憧れの聖地であると同時に、これまで200人近くの命を奪ってきた「魔の海域」としても知られている。2000年4月、ロシア出身のイスラエル人ダイバー、ユーリ・リプスキーもこの深淵に魅せられた一人だった。

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画像は「Mirror」より

 リプスキーの目的は、水深90メートル付近にある有名なアーチ状の地形を撮影することだった。しかし、事前のトレーニングを求める専門家のアドバイスを無視し、彼は単独で潜水を強行した。水深が深くなるにつれ、彼は「窒素酔い(ちっそよい)」に襲われたと考えられる。これは高い水圧下で窒素が中枢神経に作用し、まるで酔っ払ったような多幸感や混乱、判断力の低下を引き起こす現象だ。

 後に回収された彼のヘルメットカメラには、岩だらけの海底と、荒くなるばかりの呼吸音が記録されていた。暗闇の中で自分がどこにいるのか、どちらが上なのかすら分からなくなった彼は、そのまま二度と浮上することはなかった。

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画像は「Mirror」より

遺体回収のスペシャリスト「ボーン・コレクター」

 ブルーホールの深い底から遺体を収容するのは、並大抵の経験では不可能だ。この危険な任務を一手に引き受けているのが、テクニカルダイバーのタレク・オマールである。彼はこれまでに数多くのダイバーの遺体を回収しており、地元では敬意と畏怖を込めて「ボーン・コレクター(骨拾い)」と呼ばれている。

 オマールはリプスキーの遺体も回収したが、その作業は極めて困難を極めたという。深い場所での遺体捜索は、技術的なスキル以上に、死の恐怖と向き合う精神力が必要とされるからだ。彼は「この場所は自分のキッチンのように熟知している」と語るが、そんな彼ですら、ブルーホールの深淵が持つ抗いがたい力を常に警戒している。

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クロアチアの迷宮:視界ゼロの恐怖「シルクアウト」

 一方、2002年にクロアチアのポガニッツァ洞窟で起きた事故は、閉鎖的な空間ならではの恐怖を物語っている。「M.K.」とだけ記されたダイバーは、仲間とともに夜間の洞窟潜水(洞窟でのダイビング)に挑んだ。

 この洞窟の壁には細かな沈殿物(シルト)が堆積しており、ダイバーのフィンが一度それを巻き上げると、クリスタルのように澄んでいた水は一瞬で泥水のようになり、視界は文字通り「ゼロ」になる。これを「シルクアウト」と呼ぶ。迷路のように入り組んだ水深57メートルの暗闇の中で、M.K.は出口を見失い、独り取り残された。

 仲間が必死に捜索を続けたが、彼が見つかったのは空気の供給が完全に尽きた後だった。しかし、発見された彼の遺体は、あまりにも衝撃的な状態だった。

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溺死の恐怖を逃れるための「最後の一突き」

 M.K.の遺体は水深54メートル付近で発見されたが、その胸には一本のナイフが深く突き刺さっていた。警察は当初、他殺の可能性を疑って捜査を開始した。しかし、最終的に導き出された結論は、悲痛な「自殺」という可能性だった。

 暗闇の中で空気が底をつき、肺が水を求めて激しく痙攣する――。ダイバーにとって、溺死は最も苦しく恐ろしい死に方の一つとされる。パニックと絶望の極致にあった彼は、意識を失うまで長く苦しむよりも、自らの手で最期を早めるという究極の選択をしたのではないかと考えられている。

 これらの悲劇は、海がいかに無慈悲であるか、そして人間の精神がいかに脆いかを物語っている。暗黒の海底という逃げ場のない世界で、彼らが最後に見た光景は、私たちに安全への強い戒めを残している。

参考:Mirror、ほか

TOCANA編集部

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