麻酔から覚めた瞬間、“知らないはずの言語”を話し始めた男性 ── 手術後に起きた実在の異常現象

「麻酔から覚めたら、知らないはずの言語を喋っていた」
まるでB級SF映画やホラーの導入部のようだが、これは現実に起きた話だ。
アメリカ在住のスティーブン・チェイスさん(30)の身に起きたこの奇妙な現象は、単なる「術後のせん妄」では片付けられない、医学とオカルトの境界線にあるミステリーとして注目を集めている。
苦労して外国語を勉強している人にとっては「寝て起きたらペラペラ」なんて羨ましい限りだが、その裏には脳の恐るべきメカニズム、あるいは“別の何か”が潜んでいるかもしれない。
膝の手術が「バベルの塔」の入り口だった
事の発端は、チェイスさんが10代の頃に受けた膝の手術だった。
彼は英語のネイティブスピーカーであり、スペイン語に関しては「学校の授業で少し習った程度」。本人曰く、10まで数えるのがやっとのレベルだったという。
しかし、手術を終えて麻酔から覚めた瞬間、彼の口から飛び出したのは流暢なスペイン語だった。
医師や看護師が驚く中、彼は約20分間にわたり、母国語である英語を忘れ去ったかのようにスペイン語で話し続けたのだ。そしてその後、何事もなかったかのように普段の英語に戻ったという。
意識が朦朧とする中で、習得していないはずの言語を操る。これは脳の引き出しのどこかに「隠しファイル」があったとしか思えない。

10年で3回、繰り返される「別人の出現」
もしこれが一度きりなら、「偶然」や「脳の誤作動」で済まされたかもしれない。しかし、この現象の不気味な点は「再現性」にある。
その後、10年以上にわたり別の手術を3回受けた際も、彼は毎回麻酔から覚めるたびに「スペイン語を話す別人格」のような状態になったのだ。
毎回、覚醒直後の数十分間だけスペイン語モードになり、完全に意識が戻るとその記憶は消え去る。まるでスイッチが切り替わるように。
これは単なる夢現(ゆめうつつ)の話ではない。彼の脳内で、確実に何かが起きている。
医学的見解:脳の配線ミスか、隠された記憶か
医師たちはこの現象を「外国語症候群(Foreign Language Syndrome)」と呼んでいる。似た名前の「外国語様アクセント症候群(Foreign Accent Syndrome)」は比較的有名だが、言語そのものが切り替わるこの症状は極めて稀で、医学文献でも数えるほどしか報告されていない。
科学的な説明としては、プロポフォールやミダゾラムといった麻酔薬の影響で、脳内の言語ネットワークへのアクセス権限が一時的にバグった(再編成された)可能性が指摘されている。
チェイスさんは子供の頃、周囲でスペイン語が話されている環境にはいたらしい。本人は意識して学んでいなくても、脳が無意識のうちに音や単語を録音しており(クリプトムネシア/潜在記憶)、麻酔によって理性のリミッターが外れたことで、その「録音データ」が再生された……という説だ。
いわば、脳の奥底に眠っていた「使われていないアプリ」が、再起動のショックで勝手に立ち上がったようなものだろうか。

オカルト的視点:それは「真性異言」かもしれない
一方で、この話を聞いてオカルトファンが思い浮かべるのは「真性異言(ゼノグロッシア)」だろう。
習ったことのない言語を突然話し出す現象で、古くから悪魔憑きや前世の記憶、あるいはトランス状態と結びつけられてきた。
20世紀初頭の生理学者シャルル・リシェが提唱したこの概念は、科学的には否定されがちだが、今回のケースとあまりに酷似している。
もし、麻酔で意識が飛んでいる間に、彼の身体という「器」に別の何かが入り込んでいたとしたら? あるいは、彼自身の前世の人格がスペイン語話者だったとしたら?
科学的な「潜在記憶説」が有力とはいえ、本人の意識がない間に別の言語を操るという現象には、どうしてもスピリチュアルな匂いを感じずにはいられない。
脳は未知の領域
チェイスさん自身は、これをスピリチュアルな体験というよりは生物学的な不思議と捉えているようだ。
しかし、私たちの脳が、自分でも知らない情報を大量にストックし、ある日突然それを「出力」する能力を持っているという事実は、ある意味で恐ろしく、そして魅力的だ。
あなたの脳の奥底にも、まだ見ぬ「第二の言葉」や「別の人格」が眠っているかもしれない。次に手術を受けるときは、目覚めた瞬間に何を口走るか、録音しておいたほうがいいかもしれない。
参考:Espacio Misterio、ほか
※ 本記事の内容を無断で転載・動画化し、YouTubeやブログなどにアップロードすることを固く禁じます。
関連記事
人気連載
“包帯だらけで笑いながら走り回るピエロ”を目撃した結果…【うえまつそうの連載:島流し奇譚】
現役の体育教師にしてありがながら、ベーシスト、そして怪談師の一面もあわせもつ、う...
2024.10.02 20:00心霊麻酔から覚めた瞬間、“知らないはずの言語”を話し始めた男性 ── 手術後に起きた実在の異常現象のページです。言語、麻酔、外国語などの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで
