突如「特定の言語だけ話せなくなった」24歳女性襲った謎の病

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Image by Gerd Altmann from Pixabay

 中国・広州にある広東省人民病院で、医師たちを驚かせる珍しい症例が報告された。ある24歳の女性が突然、得意だった英語を話せなくなったのだ。

 事件は授業中に起きた。彼女は体調を崩した直後から流暢だった英語がまったく話せなくなってしまった。一方で、母語である中国語と広東語は問題なく話すことができ、英語を読む・理解する力にも変化はなかった。

 この不可解な状態に、担当医の神経外科部長・ワン・フェン氏は困惑した。彼女は1年以上海外留学をしていた経験があり、英語力は非常に高かったという。

脳の一部に出血が――英語だけが封じられた理由

 症状の原因を探るために行われたMRI検査により、彼女の脳の左運動野に出血(脳出血)が確認された。これは言語機能、特に発話に関わる重要な領域であり、英語を話す能力が損なわれたのは、この部位へのダメージが原因とされた。

 医師らはすぐに手術を行い、脳内の圧力を軽減する処置を実施。その結果、彼女は奇跡的にも英語を話す能力を取り戻すことができた。そして再び留学生活へと戻る道が開かれた。

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画像は「Oddity Central」より

SNSでは“外国語が話せる手術”と話題に

 この出来事が公になると、中国のSNSではさっそくユーモアを交えた反応が巻き起こった。

「この手術を受ければ英語が話せるようになるの?」
「先生、3番ベッドの患者にドイツ語の手術をお願いします」

 など、まるで“言語インストール手術”のような話として受け取られたのだ。

 もちろん実際には、言語能力の回復はあくまで損傷した脳機能の回復によるものであり、新たな言語スキルを得る手術ではない。それでも、多くの人々がこの一風変わったニュースに笑いと驚きをもって注目したのは確かである。

言語と脳の不思議な関係

 この症例は、私たちが日常的に使う「言語」が、どれほど精密に脳の特定領域に依存しているかを改めて思い知らされる出来事だった。特定の言語のみが使えなくなるという現象は、バイリンガルやマルチリンガルの脳において稀に報告されるが、今回のように「英語だけが話せなくなる」という症状は極めて珍しい。

 現代医学の力によって彼女の言語機能が回復したのは幸運であり、脳と記憶、言語の関係についてさらなる研究のきっかけにもなりそうだ。

 SNSでは「私も手術で語学力アップしたい!」との声もあるようだが、まずは単語帳から始めたほうがよさそうだ。

参考:Oddity Central、ほか

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文=深森慎太郎

人体の神秘や宇宙の謎が好きなライター。未知の領域に踏み込むことで、日常の枠を超えた視点を提供することを目指す。

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