24時間365日、38年間増築され続けた幽霊屋敷「ウィンチェスター・ミステリー・ハウス」の狂気

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By The wubOwn work, CC BY-SA 4.0, Link

 アメリカ・カリフォルニア州サンノゼに、世界で最も奇妙で、最も哀しい「幽霊屋敷」が存在するのをご存じだろうか。

 その名は「ウィンチェスター・ミステリー・ハウス」。

 かつて映画化もされたこの屋敷は、単なる心霊スポットではない。

 そこにあるのは、莫大な富と引き換えに「死の呪い」に怯え、狂気的な増改築を繰り返した一人の女性の、血塗られた贖罪の物語だ。

 この屋敷の構造を見ていると、幽霊よりも「人間の強迫観念」の方がよほど恐ろしいと感じてしまう。今回は、数千の霊に憑かれた未亡人、サラ・ウィンチェスターの生涯と、彼女が遺した迷宮について紹介しよう。

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サラ・ウィンチェスター By Taber Photographic Co. (I.W. Taber?) – History San Jose Research Library, Public Domain, Link

「西部を征服した銃」が招いた呪い

 サラ・ウィンチェスターは、ただの富豪ではなかった。彼女の義父は、オリバー・ウィンチェスター。そう、連射式ライフルの代名詞であり、「西部を征服した銃」と称されるウィンチェスター銃の発明者である。

 この銃は、再装填の手間を省き、破壊力を最大化した画期的な兵器だった。ネイティブ・アメリカンの討伐や南北戦争で猛威を振るい、おびただしい数の命を奪った。

 サラはその莫大な遺産、いわば「血塗られた金」を継承した「ライフルの未亡人」だったのだ。

 彼女の悲劇は早々に訪れた。1866年、生後わずか1ヶ月の娘アニーが死亡。さらに1881年には夫ウィルも病死する。

 家族を次々と失ったサラは、これが「ウィンチェスター銃によって殺された霊たちの復讐」だと確信した。

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ウィンチェスターライフル博物館 Public Domain, Link

「金槌の音を止めるな」霊媒師の助言

 絶望の中で彼女が頼ったのは霊媒師だった。そこで告げられた言葉が、彼女の人生、そして屋敷の運命を決定づける。

「怨霊たちを鎮めるためには、家を建て続けなければならない。金槌の音が止まれば、あなたも死ぬだろう」

 1886年、彼女はサンノゼの小さな農家を買い取り、狂気の増改築をスタートさせた。

 16人の大工を雇い、相場の3倍の給料を払い、24時間365日、交代制で工事を続けさせたのだ。この工事は、彼女が1922年に亡くなるまでの38年間、片時も休むことなく続いた。

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By Cullen328Own work, CC BY-SA 3.0, Link

迷宮と化した屋敷の「論理なき構造」

 サラ自身がナプキンや包装紙に図面を描き、翌日にはそれを形にする。気に入らなければすぐに壊して壁で塞ぐ。

 その結果、屋敷は常軌を逸した迷宮と化した。

天井に突き刺さる階段:登った先に行き止まりの天井がある。
開けると壁のドア:扉の向こうはコンクリートの壁。
床にある窓:下の階が見える謎の窓。
小さすぎるドア:子供サイズ、あるいは小人サイズの扉。

 一説には、これらは「悪霊を惑わせるための仕掛け」だったと言われている。毎晩、降霊術で霊と交信し、その指示に従って部屋を増やし続けたとも。

 最終的に、8部屋だった家は、200以上の部屋、1万枚の窓、47の暖炉、2000のドアを持つ巨大な怪物へと変貌した。

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どこにも通じない階段 By SgerbicOwn work, CC BY-SA 4.0, Link
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どこにも通じない扉 By SgerbicOwn work, CC BY-SA 4.0, Link

1975年に発見された「忘れられた部屋」

 サラの死後、屋敷は観光地となったが、その全貌は未だに把握しきれていないのかもしれない。

 実際、サラの死から50年以上経った1975年、作業員が壁の裏から「隠された部屋」を発見したことがある。中には椅子が2脚と、1900年代初頭のスピーカーが置かれていた。

 サラはこの部屋を作ったことすら忘れ、その上から壁を作って封印してしまっていたのだ。

 自分の家の間取りすら把握できず、作った部屋を忘れて壁で塞ぐ生活。彼女は広大な屋敷の中で、孤独と罪悪感に押しつぶされそうになりながら、ひたすら迷路を作り続けていたのだ。

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彼女が本当に恐れていたもの

 ウィンチェスター銃会社の関係者は、会社の歴史から「殺されたバッファローやインディアン」の記述を消したがったという。しかし、サラはその罪の重さを誰よりも理解し、背負い込んでしまった。

 この屋敷は、アメリカ開拓史の暗部と、一人の女性の悲痛な叫びが具現化した「巨大な墓標」なのかもしれない。

 もしあなたがこの屋敷を訪れる機会があっても、決して一人で歩き回ってはいけない。迷ったら最後、出口のない階段を永遠に登り続けることになるかもしれないからだ。

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画像は「Amazon」より

参考:Mirror、ほか

TOCANA編集部

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