即死したはずの男性から「35回の着信」列車事故の瓦礫の中で鳴り続けた携帯電話… 遺体発見へと導いた“死者からの通信”の謎

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 死者が家族に別れを告げたかったのか、あるいは自らの居場所を伝えたかったのか——。

 2008年9月12日、カリフォルニア州チャッツワースで起きたメトロリンク列車衝突事故。25名の尊い命が失われたこの惨劇の裏で、科学では到底説明のつかない、あまりに切なく不気味な現象が起きていた。

 衝突の瞬間、確実に即死したはずの男性の携帯電話から、その後11時間にもわたって合計35回、家族や婚約者のもとへ発信が繰り返されていたのである。

幽霊からの電話」という話は、通信エラーやバグとして片付けられがちだ。しかし、この事件には物理的な理屈を超えた「執念」のようなものを感じずにはいられない。

幸せの絶頂を襲った突然の惨劇

 事故の犠牲者となったのは、ユタ州でデルタ航空のカスタマーサービスとして働いていたチャールズ・E・パック氏(当時49歳)。彼は、カリフォルニアに住む婚約者のアンドレア・カッツさんと結婚するため、現地での再就職を控えていた。

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チャールズ・E・パック氏 画像は「Daily Star」より

 事故当日、彼は面接を終え、カッツさんが待つ駅へと向かう列車に乗り込んでいた。しかし午後4時22分、彼を乗せた列車は、運転士の信号見落としにより、時速約130キロ(相対速度)で対向の貨物列車と正面衝突。パック氏は、この凄まじい衝撃により、衝突の瞬間に命を落とした。

 これから新しい人生を始めようとしていた矢先の出来事だ。彼の魂が、その理不尽な結末を受け入れられなかったとしても不思議ではない。

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2008年チャッツワース列車衝突事故 By Craig Wiggenhornhttp://midnight.caltech.edu/craig/gallery/v/craig/lapasadena/traincollision/20080913-021646.jpg.html, CC BY-SA 3.0, Link

11時間、35回の「声なき着信」

 事故を知った婚約者や家族がパニックに陥るなか、信じられないことが起きた。なんと、パック氏の携帯電話から次々と家族のスマホへ着信が入ったのだ。

 息子、兄弟、継母、姉妹、そして婚約者。電話は夜通し、延々と鳴り続けた。計35回。絶望の淵にいた家族にとって、この着信は「彼はまだ生きている。瓦礫の中で助けを待っているに違いない」という唯一の希望の光となった。

 しかし、いざ電話に出ても聞こえてくるのは不気味な静寂と「砂嵐」のようなノイズだけ。こちらからかけ直しても、即座に留守番電話に繋がるばかりだったという。

消えた携帯電話と、遺体発見の謎

 驚くべきは、この「声なき電話」が救助活動を劇的に変えた点だ。捜索隊は、家族の証言をもとに電話の電波信号を追跡。当初の捜索エリアから少し離れた、ひしゃげた先頭車両の残骸の中から、事故発生の12時間後にパック氏の遺体を発見した。

 検死の結果、パック氏は衝突の瞬間に即死していたことが判明。つまり、彼が自分で電話をかけることは肉体的に不可能だったのである。

 さらにミステリアスなのは、彼の遺体が見つかった場所のすぐ近くに、発信源であるはずの携帯電話が見当たらなかったことだ。結局、あの35回の電話がどこから、どうやって発信されたのか、その物理的な理由は今も解明されていない。

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By National Transportation Safety BoardPhoto of the Collision of Metrolink Train 111 With.Union Pacific Train LOF65‐12.Chatsworth, California.September 12, 2008, Public Domain, Link

通信がつないだ最後の愛

 携帯電話が沈黙したのは、遺体発見のわずか1時間前だったという。まるで、自らの居場所を伝え、家族に自分の死を確認させるまで、その電話は鳴り止まなかったかのようだ。

 都市伝説のように聞こえるかもしれないが、これは当時の救助記録にも残る公然の事実だ。テクノロジーの産物であるはずのデバイスが、霊魂の「呼び出しベル」として機能したのか。

 チャールズ・パック氏が最期に伝えたかったのは、助けを求める悲鳴だったのか、それとも婚約者への永遠の愛だったのか。冷たい瓦礫の中で鳴り続けた電子音は、死してなお愛する人を守ろうとした一人の男の、最後の通信だったに違いない。

参考:Daily Star、ほか

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