「明日、世界が終わる」と信じた人々… 歴史に名を残す3つの「終末カルト」とその恐るべき結末

「明日、世界が終わる。でも、私を信じる者だけは救われる」
もしあなたが人生のどん底にいて、誰かにそう囁かれたら、笑って聞き流せるだろうか。歴史上には、この甘く危険な言葉に人生を捧げ、「世界が終わる日」を本気で信じ抜いた人々がいる。特定の指導者や教義にすがりつく集団、いわゆる「終末カルト(Doomsday Cult)」だ。
彼らが待ち望んだカタストロフィ(大破局)が起きることはなかったが、その代わりに彼ら自身が悲劇的な結末を迎えるケースは歴史上後を絶たない。カリスマ的なリーダーに惹きつけられ、現実社会から切り離されていった人々。今回は、歴史に名を刻む3つの恐るべき「終末カルト」の軌跡を振り返る。
1.荒野の女性協会(The Society of the Woman in the Wilderness)

アメリカ建国以前、17世紀の終わりにドイツからペンシルベニア州へと渡った初期の終末カルトだ。
思想的創設者のヨハン・ヤコブ・ツィンマーマンは、ルター派の一派である敬虔主義に、錬金術や占星術をミックスした独自の教義を構築した。聖書の「女は荒野へ逃げた」という一節と独自の数学的計算から、「1694年に世界が終わる」と予言した。
しかしツィンマーマンは、グループがアメリカへ出発する直前(1693年)に死亡した。そのため、若い弟子であるヨハネス・ケルピウスが後を継ぎ、約40人の独身男性信者を率いて1694年にペンシルベニアに到着した。
彼らは宗教的寛容で知られていた新天地アメリカ(ペンシルベニア)のウィサヒコン渓谷に木造の礼拝堂と天文台を建て、毎晩夜空を見上げて「世界の終わりの兆候」を待ち続けた。
しかし、1694年が終わっても世界は滅びなかった。「計算違いだった」と予言を1700年に修正し、夏至の日に「森で天使を見た!」と騒ぐメンバーも出たが、結局何も起きず、教団は自然消滅した。
彼らが残した賛美歌が今でも歌い継がれているというのだから、ある意味で彼らの魂は救済されたと言えるかもしれない。平和な結末を迎えた、珍しいカルトの例である。
2.モンタノス派(Montanism)

時代は一気に遡り、紀元2世紀。現在のトルコにあたる小アジアのフリギアで誕生した、初期キリスト教の分派である。
西暦156年頃、キリスト教に改宗したモンタノスという男が「私を通じて聖霊が語っている」と主張し始めた。プリスキラとマクシミラという2人の女性預言者も加わり、彼らは「キリストの再臨(セカンド・カミング)と、それに伴う終末の裁きが間もなく訪れる」と熱狂的に説いた。
終末論自体は初期キリスト教には珍しくなかったが、モンタノス派が特異だったのは、「天のエルサレム(天国)が、ここフリギアの特定の場所に降臨する」と具体的な場所を指定したことだ。これを信じた多くの人々が家や財産を捨ててフリギアに集結した。
結局、彼らは西暦177年頃に異端として教会から破門されたが、その熱狂的な信仰はその後数世紀にわたって一部で生き残り続けた。人間の「選ばれたい」「救われたい」という欲求は、2000年前から何も変わっていないのだ。
3.ヘヴンズ・ゲート(Heaven’s Gate)
現代の終末カルトを語る上で、決して避けて通れないのがアメリカの「ヘヴンズ・ゲート」だ。
元神学生のマーシャル・アップルホワイトと、看護師のボニー・ネトルズによって設立されたこの教団は、キリスト教とUFO信仰を悪魔合体させたような教義を持っていた。「聖書に登場する神や天使は、実は地球外生命体(エイリアン)であり、彼らが間もなく地球を浄化しに来る」というのだ。
やがて彼らは「自分たち自身が、人々を真実へ導くために地球へやってきたエイリアンだ」と名乗り始める。1985年にネトルズがガンで亡くなると、アップルホワイトは「死とは、魂をエイリアンの肉体に乗り換えるための『人間の器(肉体)の脱ぎ捨て』に過ぎない」と教義を過激化させていった。
悲劇の引き金となったのは、1997年に地球に大接近した「ヘール・ボップ彗星」だ。
アップルホワイトは「あの彗星の背後には、我々を宇宙へ連れ帰るための巨大なUFOが隠れている!」と信者たちを先導。1997年3月下旬、彼を含む39人の信者が、お揃いの黒いシャツとズボン、そして真新しいナイキのスニーカーを履き、「UFOに乗るため」に集団自殺を遂げた。
彼らの遺体には、身分証明書と「宇宙の旅の通行料」とされる5ドル札、そして数枚の硬貨がポケットに入れられていたという。
「明日、世界が終わる」という甘美で恐ろしい予言。それにすがりつく人々の心には、現代社会のシステムに対する深い絶望と、何者かに救済されたいという切実な願いが隠されている。
世界が終わらなくても、彼らの個人的な世界はカルトに取り込まれた時点で終わっていたのかもしれない。次に「終末」を声高に叫ぶ者が現れたとき、私たちは彼らの言葉の裏にある「本当の闇」を見極める必要があるだろう。
参考:MENTAL FLOSS、ほか
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