16歳の“吸血鬼”が引き起こした惨劇… 米犯罪史上もっとも狂った「ヴァンパイア・カルト」の正体

フィクションの世界では魅力的に描かれることも多い「吸血鬼」だが、現実の世界でその妄想に取り憑かれた少年が引き起こした事件は、あまりにも凄惨で救いようのないものだった。
1990年代の米国を震撼させた「ヴァンパイア・クラン(吸血鬼一族)」。そのリーダー、ロッド・フェレルが歩んだ道は、単なる中二病の暴走では済まされない、血塗られた狂気へと繋がっていたのである。
墓場で血をすする「不死者」たちの儀式
ケンタッキー州の貧しい家庭で育ったロッド・フェレルは、幼少期から複雑な家庭環境に置かれ、現実逃避するようにダークファンタジーの世界にのめり込んでいった。特に彼を虜にしたのが、当時流行していたテーブルトークRPG『ヴァンパイア:ザ・マスカレード』だった。
ゲームの世界に没入するうちに、フェレルの中で「現実」と「設定」の境界線は崩壊していく。彼は自らを「ヴェサゴ」という名の、数千年の時を生きる不死の吸血鬼であると自称し始めたのだ。
驚くべきは、若干16歳の少年のこの荒唐無稽な主張を、周囲の友人たちが信じ込んでしまったことだ。彼は瞬く間に信奉者を集め、カルト集団「ヴァンパイア・クラン」を結成。夜な夜な墓場や廃墟に集まっては、お互いの体を刃物で傷つけ、その血を飲み干すという異常な儀式を繰り返していた。
日本でもかつて「悪魔崇拝」を模倣した若者の非行が話題になったことがあるが、フェレルの場合はそれがさらに一線を越えた、本格的なカルトへと変質していたのである。

凄惨を極めたバールによる「審判」
1996年11月、この吸血鬼ごっこは最悪の結末を迎える。フェレルは仲間の少年とともに、友人であるヘザー・ウェンドルフの両親を殺害する計画を実行に移したのだ。
フロリダ州にある邸宅に侵入したフェレルは、リビングのソファで眠っていたヘザーの父、リチャードをバールで執拗に殴打。頭蓋骨と肋骨を粉砕するという、人間の仕業とは思えない残虐さで命を奪った。さらに、騒ぎを聞きつけてシャワー室から出てきた母のナオミも、逃げる間もなくその犠牲となった。
現場に残された遺体には、フェレルが自らの権能の象徴として使っていた「V」の刻印が刻まれていたという。このあたり、まるで猟奇ホラー映画の演出のようだが、これが現実の光景だったのだから戦慄を禁じ得ない。
犯行後、一行は被害者の車を奪って逃走。ルイジアナ州で逮捕されるまで、彼らは自分たちが「特別な存在」であるという幻想の中にいたのだろう。

「修復不能な腐敗」と下された判決
1998年、フェレルには死刑判決が下った。16歳(犯行当時)での死刑判決は、当時のフロリダ州で史上最年少の記録だった。裁判官は彼を「深く精神を病んでいる」と評し、同時に彼を救えなかった家庭環境の不備を指摘した。
その後、法改正により2000年に無期懲役へと減刑されたが、社会が彼を許すことはなかった。2020年に行われた仮釈放の審問において、裁判官はフェレルを「修復不能なほどに腐敗している」と断じ、釈放の可能性を真っ向から否定した。
ダークファンタジーのルールを現実の法律よりも優先させた少年の末路は、一生を冷たい鉄格子の後ろで過ごすという、不死の怪物とは程遠い、あまりにも惨めな現実であった。
参考:Mirror、ほか
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