世界各地で「消える橋」! 200トンの鉄橋も…日常にまみれた意外な盲点
「橋頭堡(きょうとうほ)」という言葉がある。通常は、「物事を展開する上での足がかり」というような意味で使われるが、もともとは戦時の物資輸送のために重要な橋を守る砦を指す言葉だ。橋がどれほど大事なものであるかということがよく分かる言葉だが、日常生活ではまさか橋が狙われるものだと意識することはない。しかし、今でも「橋頭堡」が必要であると思ってしまうような事件が世界で起きている。
■全長6メートルの橋が盗まれる
今月16日に「TORONTO SUN」が報じたところによると、先月アメリカのイリノイ州で全長6メートルの橋が盗まれたことが判明した。木や鉄でできていた小さな橋だったのだが、あまり使われていなかったため発見が遅れたようで、いつ盗まれたのかもはっきりとはわかっていない。郡の保安官によると、付近ではこれまでに交通標識なども盗まれており、それらに続いて橋が盗まれたという事態だ。
橋が盗まれるという事実は非常に驚くべきことだが、実はここ数年、世界各地で発生している。
■一体なぜ!? 世界中で盗まれる「橋」
2008年にロシアやチェコでそれぞれ200トンと4トンの鉄道橋が盗まれた。200トンもの橋が盗まれるとはにわかには信じがたいが、実際に一晩で解体されて盗まれたようで、もはやデビッド・カッパーフィールドのショーのような驚異的な所業である。
2011年9月にはアメリカ・ペンシルバニアで全長15メートルの鉄橋が盗まれ、2人の犯人が逮捕されている。犯人らは溶接作業用の切断トーチを使い、10日間ほどの期間で全てを解体して盗んだという。その後、スクラップ業者からの通報で2人は逮捕された。
また、2012年には再びチェコで10トンの橋が盗まれ、2013年3月にはトルコで22トンの鉄橋が、7月には中国で20メートルの石橋が盗まれている。チェコのケースではクレーンやトラックを使って通常の工事のように解体し、パトロールに訪れた警官には偽の書類を見せて摘発を免れるという、堂々たる犯行であった。
いずれの犯行も、「資材としての橋」を目的としている可能性が高い。この他にも、報道されていない例もきっとあることを考えれば、橋は今、窃盗団の格好の標的になりつつあるのかもしれない。特に普段あまり使っていないような小さな橋は、盗まれてもなかなか気が付かれない可能性があり、注意が必要だ。
東日本大震災の復興事業などで、資材が高騰している昨今、日本でも同じような窃盗が起きても不思議ではない。橋が盗まれるという想定はほぼされていないであろうことから、案外簡単に盗まれてしまう可能性もある。現在日本には老朽化が進んだ橋がたくさんあり、そのメンテナンスにかかる費用が問題となっているが、盗難対策にも配慮しなければならない時代となってしまったようだ。
(文=杉田彬)
参考:「TORONTO SUN」ほか
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