もしも核戦争が起きたら…? コンピュータが予測する、過酷すぎる地球の状態!!
※インドとパキスタンが核戦争を起こした場合
① 5メガトンの黒いカーボンが、すぐさま大気圏に入る。黒いカーボンは燃焼物質から作られ、地表に到達する前に太陽からの熱を吸収してしまう。その後、一部は雨に混じって降り注ぐ。
② 1年後、地球表面の温度は華氏2度ほど低下する。さらに5年後には、地球は平均して以前より華氏3度寒くなる。20年後に地球は再び暖かくなるが、それでも核戦争前の平均よりも低温となる。
③ 地球が寒冷化する事により、降雨量が変化する。戦争の5年後、地球上の降雨量は9%減少、26年後には4.5%減少する。
④ 地域にもよるが、核戦争の2~6年後に、穀物の成長時期が年10~40日短くなる。
⑤ 大気の化学反応が、地球上の生物を紫外線から保護しているオゾン層を侵す。戦争後5年でオゾンは20~25%減少し、10年後にはやや回復するが、それでも8%減少した状態のままとなる。
⑥ オゾン層による紫外線の保護が減ると、人間により多くの日焼けを引き起こし、皮膚がんが増える可能性がある。同時に植物の成長を弱め、とうもろこしのような作物のDNAを不安定にする。
⑦ 「核戦争防止国際医師会議」が発表した2013年の研究結果は、20億人が原爆戦争後に食糧飢饉に陥ると見積もっている。
■人類は核兵器を廃絶できるのか
科学者チームは25年前から、核戦争後に起きる事態を探るため複数の新しい気候モデルを使ってきた。今回の研究は、それら新しい気候モデルの幾つかを結合させたものであるという。
「Earth’s Future」に掲載された研究内容を読むと、例えば異なる2つの気候モデルは、核戦争後に地球が最も寒くなる年について、やや異なった答えを出している。しかし、どのモデルも核戦争が地球にもたらす影響については合致しており、それは「過酷で長期にわたる」とされている。
これらの悲観的な研究結果を読んで、暗い気分になる人も多いだろう。しかし、それこそが今回の研究の重要なポイントであると科学者チームは語る。彼らはこれを発表する事により、現在地球上にある約1万7千の核兵器を破棄する動機を与えたいと考えているのだ。
今回の研究ではインドとパキスタンが俎上に載せられているが、アメリカ・イギリス・フランス・イスラエル・中国・ロシアも「危険な核保有国」であることに変わりはないし、北朝鮮のような国家でさえ核を保有していると言われている。最も危険な武器と言われる核が、地球上から廃絶される日は来るのだろうか? それとも「地球最後の日」が先に来てしまうのか? 人類の英知に期待したい。
(文=美加リッター)
参考:「Popular Science」ほか
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