「つまようじ少年事件」誰もツッコまないマスコミの誤報
■つまようじ少年は何罪で捕まったか?
新年早々、またネットを使ったお騒がせ事件が発生した。東京都内のスーパーに陳列してあるスナック菓子に「つまようじを突き刺す」という悪質なイタズラ動画を自分で撮影し、それを動画投稿サイトにアップする男が現れたのである。この男はほかにも、コンビニで万引きをする動画など、自分の犯した“犯罪”をネットにアップし続けた。さらにこの騒動をマスメディアが報じ、警察が捜査に動き始めたのを知ると、電車で逃亡し、その逃亡する様子もネットの動画サイトに投稿し続けたのである。この犯人は未成年であったことから、マスコミは本名を公開せず、メディアでは「つまようじ男」とか「つまようじ少年」と呼ばれた。
結局、つまようじ少年は指名手配されてJR米原駅で警察に身柄を拘束されたが、逮捕された罪状は、“建造物侵入罪”だったのである。
マスコミ報道が正しいとすれば、つまようじ少年の逮捕容疑は「買い物目的ではなく、コンビニへ“少年法改正”をするために、勝手に侵入した」ということだそうだ。
つまようじ少年はコンビニに普通に入店している。別に裏口からこっそり忍び込むとか、犯罪的な手段で店内に入っているわけではないのである。これはとても怖い話だ。つまり警察はその気になれば、自由に人が出入りできる建物にひやかしで入った人間を、すべて建造物侵入罪で逮捕が可能だということなのである。
TVを中心としたマスメディアは、騒動を起こしたつまようじ少年の幼稚さを非難するばかりで、今回警察が行ったほとんど言いがかりのような逮捕容疑に関しては全くスルーなのはなぜだろう?
■誰もツッコまないマスコミの誤報
つまようじ少年が問題になった動画を投稿したのは1月の12日で、マスコミが騒ぎ始めたのは13日あたりからだった。当初の報道では、客からの通報で“スーパーが店内を点検したところ、実際に商品に穴が開いているのを確認した”とある(テレ朝ニュース)。しかし、15日に逃亡したつまようじ少年に対して逮捕状を取った容疑は、コンビニでの万引き動画を証拠とした「窃盗罪」だった(産経新聞)。
ところが16日になると、マスコミはつまようじ少年の逮捕容疑を「建造物侵入」と報じ始めたのである。さらに、つまようじ少年が逮捕される直前になると「警視庁がつまようじ少年の自宅を家宅捜索した結果、部屋から穴の開いたスナック菓子が出てきた」というニュースを流したのである。あれ、おかしい。つまようじ少年の被害にあったスーパーでは、穴の開いた商品が“確認された”のではなかったか? つまようじ少年の逮捕容疑は窃盗罪ではなかったのか?
■マスコミの誤報は警察の迷走? つまようじ少年事件の背景を推理してみる
こうした“小さな誤報”が連発された裏側を推理してみよう。つまようじ少年事件の場合、逮捕容疑が変わったことに関しては、おおよそ察しがつく。警察は窃盗容疑で逮捕状を取ると同時に、つまようじ少年の部屋の家宅捜索令状(いわゆる“ガサ状”)をとってガサ入れをしたと思われる。
そして部屋で投稿された動画に登場した“穴のあいた菓子”を発見してしまったのだろう。商品への異物混入がフェイクだと気づいた警察は、万引き動画も偽装の可能性があるという事に気づいたに違いない。そこで警察は急遽逮捕容疑を切り替えて、建造物侵入罪でつまようじ少年を逮捕したのである。
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