古代人は“ブルー”が見えなかった? ~青色の認識でわかる、色と言語の不思議~

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 紀元前8世紀に書かれたという世界史の名著、ホメーロスの『オデュッセイア』 には“ブルー”の色を表現する言葉がまったく出てこない――。ひょっとすると古代の人々は「ブルー」を認識していなかったのではないか? という、かなり頭が混乱してしまいそうなニュースが話題を呼んでいる。

■古代の文献には“ブルー”が登場しない

 巷を賑わせた「白&金」か「青&黒」かという“ドレス問題”で色に関心が集まっている昨今だが、色にまつわる新たな仮説(!?)が注目を集めているようだ。それによれば古代の人々に“ブルー”という概念は無かったのではないかという話だ。これは一体どういうことなのか?

 2月27日付けの「Business Insider」の記事によれば、今を遡ること1858年、後にイギリスの大臣となるウイリアム・グラッドストーン氏がホメーロスの『オデュッセイア』の文中に出てくる色をあらわす表現を数えたところ、“ブルー”が一度も出てこなかったという。ちなみに黒は200回近く、白は約100回、赤は15回程度、黄と緑は10回足らず文中に登場するということだ。

 しかし、これはギリシャ神話に限ったことではなかった。イスラム教の聖典「コーラン」にも、古代中国の物語にも、ヘブライ語版の「聖書」にも“ブルー”は出てこないと、ドイツの文献学者、ラザルス・ゲイナー氏は主張している。古代の人々にはブルーの概念がなかったのか? それともブルーを認識できなかったのだろうか? 謎は深まるばかりだが……。

 冷静に考えてみると、現代人にとって日常生活の中でブルーはごく普通に目にする色だが、厳密な意味でのブルーは自然界にはなかなか存在しない色かもしれない。空や海はライトブルーやダークグリーンであることのほうが多そうな気もする。

 しかし、古代の文明で唯一、ブルーを表す言葉を持ち、布をブルーに染める技術を有していたのが古代エジプト人だという。この古代エジプト人による染物が周辺に伝わるにつれ、徐々にブルーという色が他の文明の人々にも認識されるようになったのではないかという考察がこの話題を扱った「Daily Mail」の記事の中で述べられている。ひるがえって文化の中に“藍染め”あるからこそ、我々日本人は藍色をすぐさま識別できる能力を持っていると言えるかもしれない。

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