【指を壊死させて切断】究極の身体改造「アンピュテーション」に挑む女―インタビュー
現在、トカナで連載中の「モダン・フリークス」編集長・福田光睦氏が、過激な身体改造”アンピュテーション(amputation/切断)”の実践者、グランギニョル嬢にインタビューを敢行! 日本でも先例が少ない身体改造の最前線を報告してくれた!
“髪を切ることも、筋肉をつけるトレーニングも、身体改造である”
ーーサンパ・フォン・サイボーグ(フィンランド出身の身体改造アーティスト)
“身体改造(Body Modification)”とは、1980年代後半にアメリカ西海岸で興った“モダン・プリミティブ”のムーブメントに端を発した身体を使った芸術・表現活動の総称である。
“自らの意志で自らの体をデザインする”“自らの体を使って自らを表現する”といえば理解できるだろうか。もっとわかりやすく言うのなら、タトゥーやピアスの延長線上にある、さらに難易度の高い改造行為を指す言葉である。
その代表的な行為を挙げていくと、インプラント(体を装飾する目的のために、皮膚下への異素材を埋め込むこと)、カッティング(皮膚を切り刻みその跡で模様を描く)、スプリット・タン(舌の先端をふたつに裂く)などが挙げられる。
高い専門的技術を要する行為であるため、多くの場合は、身体改造アーティストと呼ばれるものたちによって施術が行われている。身体改造のマニアがその体をキャンバスとして提供し、アーティストと共に、自らの体で作品作りをするという概念なのである。
そして、あまり知られていることではないが、2000年ごろから多くの海外アーティストが来日していたこともあり、日本はその身体改造の分野において、先進国のひとつなのである。
近年では日本人の身体改造アーティストも生まれており、ボディ・サスペンション(フックを体に突き刺して空中にぶら下がる行為)やベーグル・ヘッド(生理食塩水を額に注入してベーグルの形を作る行為)といったパフォーマンス的な身体改造行為を行うライブイベントなど、身体改造という新しいカルチャーを楽しむ場が、生まれている。
つまり、より開かれた状況にあるといえるのが、2015年現在の日本における身体改造を取り巻く環境なのである。しかし、今回取材したのは、そういった活況下にあっても、ひと際暗いアンピュテーションを施した女性である。
筆者が自らの意志で左手の薬指を切断した女性”として彼女に出会ったのが昨年秋頃。
その初見の時には何も考えず「結婚指輪に対するアンチテーゼですか?」と聞いてしまったのだが、彼女は笑って否定していた。その彼女、グランギニョル嬢がつい先日、なんと右足の小指まで切断してしまったという。
このまま放っておいたら全部指がなくなってしまうかと心配になった、というわけでもないのだが、その過激すぎる身体改造行動の理由と、その痛すぎる実験について話を聞いた。
■体の至るところに身体改造を施しているグランギニョル嬢
「見ますか? 小指です」
そう言って包帯をほどいていくグランギニョル嬢。
普段は都内のごく一般的な会社に勤める、30代のOLである。
取材した日は、右足小指の切断手術から退院してたったの5日後。
取材場所まで足を引きながら来てくれ、見せてくれたその痛々しい傷跡は、切りっぱなしのように見える。
ーー傷口、縫っていないんですか?
「切ったまんまですね。感染の疑いがあるとまだ綴じられないらしくて、お医者さんが言うには“肉が乗ってくるのを待ちましょう”ということでした。手の手術の時は縫ったんですが、足は見た目を重視しないということもあるみたいです」
医学的にも、足の方が扱いが悪いようだ。
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