「トリノの聖骸布」の謎が深まる ― 世界中の植物のDNAが付着!
■1290年~1360年に作られたフェイク品?
「トリノの聖骸布」を保管する聖ヨハネ大聖堂 画像は「Wikipedia」よりさて、トリノの聖骸布には1353年以前の記録がなく、中世以降に造られたフェイクであるという説もある。1988年のオックスフォード大学、アリゾナ大学、スイス連邦工科大学の放射性炭素年代測定によって、この聖骸布は1290年~1360年に作られたフェイクである可能性が指摘されたが、今回のDNA検出は、「本物」「偽物」とする双方の立場からそれぞれの解釈が可能な結果となっている。花粉やチリが、世界中から訪れる参拝者から付着したものである可能性も十分に考えられるのだ。
さらに、聖骸布にあるキリストと目される人物の痕跡についても謎は多く、現在の科学的調査でさえも、その痕跡の成り立ちについてすべてを明らかにすることはできずにいる。前法皇のベネディクト16世は、「トリノの聖骸布は、磔にされた男の血で書かれており、聖書の福音書にある解釈と完全に一致する」としたが、聖骸布をめぐるさまざまな論争は収まりそうにない。今回の検査結果も、それぞれの解釈によって、それぞれの説を裏づけるものとされていくことになるだろう。
キリスト教において、聖骸布は歴史的に重要な遺物として扱われてきた。多くの信者たちの願いを受け止めてきた、何物にも代え難い品だ。科学によって分析が進み、「モノ」としての由来が明らかになろうとも、信者にとっての聖なるアイコンとしての価値は不変であると信じたい。
(文=高夏五道)
参考:「Daily Mail」ほか
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