「世界の薬物汚染マップ」死亡者数・中毒者数・麻薬の種類を比較 果たして日本は?

「世界の薬物汚染マップ」死亡者数・中毒者数・麻薬の種類を比較 果たして日本は?の画像1画像は、華岡青洲「Wikipedia」より

 江戸時代の半ば、今日の医療を支える全身麻酔を世界にさきがけて生み出したのが、華岡青洲である。麻酔を実用化するため、青洲はけなげな妻の協力のもとに薬草の調合を繰り返し実験を重ね、ついには彼女の視力を奪ってしまったという言い伝えは有名だ。人の痛みや苦しみを取り去る麻酔は、人体にとっては深刻な毒にもなる――それを悟った青洲は、完成した麻酔薬のレシピを門外不出とし厳重に管理し続けた。

 やがて時は流れ、新たな薬草を使用するなど幾多の改良を経て、現代では多くの患者が麻酔薬の恩恵を受け、無痛の治療で命を救われている。しかしその反面、青洲が恐れたように、医療とは無関係の人の手に渡った薬物は“麻薬”となり、人の健康と命を蝕んでいる現実がある。

 いま、世界ではどのように麻薬が使われ、どのような影響を及ぼしているのか? 海外メディアが注目する薬物汚染マップを通して、麻薬の現状に焦点をあててみよう。


■国連マップ:世界の統計

 今回紹介するのは、世界を汚染する麻薬の現状を視覚を通して理解することができるドラッグマップだ。マップの製作にあたり参考にされたのは、全世界的な薬物規制・犯罪の対応にあたる国際連合薬物犯罪事務所(UNODC)の2014年度のデータである。

 公開されたマップは、次の3つだ。


(1)「薬物中毒への治療を受ける人の数」を比較するマップ(グレーはデータなし)

「世界の薬物汚染マップ」死亡者数・中毒者数・麻薬の種類を比較 果たして日本は?の画像2画像は「Drug Treatment Trends」より引用


(2)「大量摂取による死亡者数」を比較するマップ(グレーはデータなし)

「世界の薬物汚染マップ」死亡者数・中毒者数・麻薬の種類を比較 果たして日本は?の画像3画像は「Drug Treatment Trends」より引用


(3)「その国で最も流通している麻薬の種類」を比較するマップ

「世界の薬物汚染マップ」死亡者数・中毒者数・麻薬の種類を比較 果たして日本は?の画像4画像は「Drug Treatment Trends」より引用


 さて、とりわけ(3)の「その国で最も流通している麻薬の種類」に注目してみよう。あざやかに塗り分けられた配色が、その国で一番人気があり、乱用されている麻薬が何であるかを示している。

・水色:コカイン
・青色:オピオイド系麻薬/アヘン
・緑色:マリファナ
・サーモンピンク:有機溶剤/シンナー
・赤色:アンフェタミン系興奮剤/覚せい剤
・オレンジ色:鎮静剤/精神薬
・紫色:その他
・灰色:データなし

 ざっと目を通してみると、オピオイド系麻薬/アヘンの乱用を表す青色が広範囲にわたって塗られており、続いてマリファナの緑色が多く散らばっている。

 日本はどうか……と見ると、他の色よりも目立つ赤色で塗られている。ということは、わが国では覚せい剤が乱用されているということだ。

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