UFO、心霊、超能力…! 70年代~現代オカルトを徹底検証した決定版が発売される~ケロッピー前田インタビュー~
■100冊以上のオカルト本を集めて
――資料はどのように集めましたか?
前田「本書が70年代オカルトにフォーカスしているのは、僕が子供時代にリアルタイムに体験したという記憶と、その当時に収集していたオカルト資料を大切に保管していたからです。その資料の中には、74年公開の映画『ノストラダムスの大予言』のパンフレット、77年に日本の漁船がニューネッシーといわれる謎の巨大海洋生物の腐乱死体を引き上げたときの新聞記事の切り抜きなどがあります。もうひとつは、子供の頃のいろいろな疑問を大人になった今、ネットなどを駆使して調べることができるようになったことです。英語が読めれば、海外のオカルト情報について、かなりいろいろなことが調べられます。もちろん、ネットばかりでなく、その裏付けとなる書籍を資料として読み直す必要がありました。今回の執筆のために100冊以上の古いオカルト本を収集しましたが、それもネットで簡単に探せるようになったから入手できたものも少なくありません。そういう意味で、本書はネット時代のオカルトの楽しみ方を僕自身が実践し、その成果をご披露した感じです」
――ご執筆されているなかで、本書の見所、そして、最もテンションが高まった瞬間を教えてください。
前田「まず、本書の見所について具体的に触れていくなら、日本のオカルトブームと欧米のブームを比較して、その時間的なズレや内容的な変容を追っていったところにあるでしょう。たとえば、UFOは1950年代のアメリカで社会現象というべき大きなブームが巻き起こり、UMA(未確認生物)については1938年に古代魚シーラカンスが発見されたことが世界的なUMA捜索のきっかけでした。超能力は、70年代初頭にソ連が国家規模での超能力研究を推進していることがリークされたことから、世界的なブームとなりました。そのあとすぐにアメリカのCIAがスタンフォード研究所に超能力研究を委託しますが、その被験者としてイスラエルから連れてこられたのが若きユリ・ゲラーだったわけです。また、心霊写真や死後の世界への社会的な関心は、19世紀から20世紀にかけて欧米で盛り上がった心霊主義(スピリチュアリズム)にまでさかのぼれます。そして、70年代に日本でオカルトブームが巻き起こったのは、カラーテレビの普及とも関連していました。もちろん、73年のオイルショックがきっかけとなって、小松左京の『日本沈没』や五島勉の『ノストラダムスの大予言』が大ヒットし、終末論がブームとなっていくわけです。ノストラダムスについては、日本では、五島勉の独自の予言解釈である1999年7月の人類滅亡説が四半世紀に渡って大きな影響力を持ち続けますが、95年にオウム真理教の地下鉄サリン事件が起こるとオカルトバッシングに繋がって、ノストラダムスも消費し尽くされた感じになりました。その一方で、世界のノストラダムスブームは、2001年の911の同時多発テロ以降に再燃して、2012年のマヤの人類滅亡説にまでつながっていきます。その流れを追っていくと、日本のノストラダムスブームがなんらかの変容を経て、21世紀の世界の人類滅亡ブームに大きな影響を与えたようにも思えるんです」
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