米軍の核兵器管理には今も「フロッピーディスク」が使われていた! 関係者「まだ動くし、ずっと使い続ける」

 2ミリくらいの薄いプラスチックのケースに入った、縦横10センチ程度の記憶媒体。3.5インチフロッピーディスクは、もしかしたら、今どきの子どもたちは見たことさえないかもしれない。


■国防総省のシステムで、今もフロッピーディスクが使われている

 3.5インチフロッピーディスクの中で、過去もっとも普及した1.44MBのディスクでさえ、今や1000円も出せば買える32GBのマイクロSDカードの約2万3千分の1の容量しかない。

 この、加速度的に進化しているコンピュータ及び周辺環境のなかで、誰もがハイテクの最先端をひた走っているのだろうと考えているアメリカ国防総省(ペンタゴン)のシステムが、実はいまだにフロッピーディスクを使用しているという事実は衝撃的である。

 イギリスの「Mirror」紙のレポートによれば、大陸間弾道ミサイル(ICBM)や、核爆撃機、空中給油支援航空機などは、いまだに1970年代のコンピュータシステムであるIBMの「シリーズ1コンピュータ」と8インチフロッピーディスクによって管理されているとのこと。これは、アメリカ政府の公式文書にも記載されている事実ということである。ペンタゴンによれば、このシステムは目的のためには十分であるし、いまだにきちんと動いているとのこと。

米軍の核兵器管理には今も「フロッピーディスク」が使われていた! 関係者「まだ動くし、ずっと使い続ける」の画像1画像は「Wikipedia」より

 しかし会計監査院は、ペンタゴンではこのレガシーシステムのメンテナンスに年間約61億ドルという、モダンシステムの3倍以上の費用がかかっているとして、この国防省をはじめいくつか残されているレガシーシステムを使用している政府機関は、早急にシステムを変更することが望ましいとしている。

■2020年までに全システムを入れ替える予定だが……

 これについてペンタゴン側は、稼働しているシステムの変更の必要はないとし、バレリー・ヘンダーソン中佐はAFP通信社のインタビューに対して「このままシステムの使用を続ける。端的にいってしまえば、まだ動いているからだ」と発言している。

 また「フロッピーディスクの使用は2017年にさらにセキュリティ上安全なデバイスに置き換えられる予定である。しかし、核のコントロールや指令系統、通信系などのシステムはそのまま使用する」とのことである。ペンタゴンは2020年までに全システムを入れ替えるとレポートは締めているのだが、実際どのような変更になるのかは不明のままとなっている。

 確かに、新しいものがセキュリティ上安全であるという確証はもちろんないのだが、いまだに1970年代に開発されたシステムに頼っているとは驚きである。実際多くのサプライヤーでフロッピーディスクの生産などはとっくに終わっていることを考えると、政府機関用にフロッピーを生産しているメーカーが存在しているということなのであろうか。それすら生産中止になってしまったらどうするのだろう。
(文=高夏五道)


参考:「Mirror」、ほか

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