頭蓋骨から古代エジプト女子の顔面を完全復元! 2000年以上前、うら若き美女はなぜ死んだのか?
現代でもかなりの美女と呼べるだろう、こちらの女性。実は2000年以上前に生存していたと思われる、ヒトの頭蓋骨から復元されたものである。この頭蓋骨の発見場所やその後の経緯は不思議なことに不明だという。
■「古代に生きた人物の真実に迫る」頭蓋骨復元技術
判明しているのは20世紀初頭にどこからか豪メルボルン大学に渡り、100年もの間保管されていたということ。1930年代に同大学の解剖学の権威であったフェデリック・W・ジョーンズ教授がエジプトへ古代調査に遠征した時に持ち帰ったものではないか、との説が有力だがはっきりしていないらしい。
同大学の研究チームによってメリトアムン(Meritamun、アムン神に愛されし者の意)と名づけられたこの女性の頭蓋骨の復元作業は、CTスキャンと3Dプリンティングに140時間費やし、エジプト学と美術の専門家も交えるかたちで行われた。
特にスキャニングでは、モナシュ大学で法医学的に古代エジプト研究を行っており、以前に中世英国のリチャード3世の顔を復元した実績を持つジャネット・ダービー博士が参加。その結果、頭蓋骨はエジプト人のものと判定され、骨の構造や顎部のサイズや角度、口の上部の構造、眼窩の形などから女性であることが判明したのである。
実際の頭蓋骨は変色しており、虫歯や骨に損傷がみられる部分もあったが、CTスキャンによってダメージを感じさせない完璧な状態に蘇ったという。死亡時は18~25歳の頃と推定されており、うら若き女性の命を奪った死因は古代エジプトに多かった貧血症と歯の膿瘍が悪化したためだったらしい。ボディ部分がないため、これ以上の詳しい死因などの調査は難しいものの、死亡前には顔は青白く、気怠さに襲われていたものと推測されているようである。
ダービー博士はメリトアムンに対し、「彼女のアイデンティティを現代に再構築することを念頭に置き、我々が今持てる技術を駆使してどこまで古代に生きた人物の真実に迫ることができるか、といった素晴らしい研究の機会を与えてくれました」と語っている。
研究者らはこの古代人女性について、出生地や出生年代、持病の有無、食事などの詳細を引き続き現在も調査中だ。まずは頭蓋骨の細胞内の炭素や窒素の原子を元に、メリトアムンが生前に摂取していた食べ物を突き止めようとしており、同時に正確な死亡年齢を特定するために放射性炭素の調査を行う予定だという。
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