我々は2次元から3次元に“変換された”ホログラムの中に住んでいた! ブラックホールは2D/3D変換装置
実はこのアイディアが、ブラックホールを理解するうえでのカギとなる「事象の地平面(event horizon)」の概念にとても似ている。あらゆるものを飲み込むブラックホールだが、その“入口”のすぐ奥には、一度内側へ入ってしまうと光ですら脱出することは出来ない境界境域があり、そこを事象の地平面と呼んでいる。そして事象の地平面まで到達したあらゆるものは質量を失い、2次元の情報に“変換”されてしまうことが指摘されている。そう考えるとブラックホールは、宇宙のすべてのものを本来の2次元の姿に戻す“装置”なのかもしれない。
そして動画では、今年1月に英・サウサンプトン大学をはじめとするカナダとイタリアの合同研究チームが「宇宙マイクロ波背景放射(Cosmic Microwave Background、CMB)」を分析することで、ホログラフィック宇宙論をサポートする有力なエビデンスを見出したことを解説している。
CMBは宇宙のどこにいても観測されるマイクロ波で、この宇宙のはじまりであるビッグバンの名残りであると考えられている。砂漠を物凄いスピードで走り去るラリーカーが巻き起こした砂煙が、しばらく漂っている状態とでもイメージすればよいだろうか。
しかし、詳しくCMBを分析してみると、マイクロ波は宇宙空間のなかで完全に一定しておらず、場所によってむらがあることがわかった。つまり、砂漠の砂埃が酷い場所とそうでもない場所があるようなものだ。いったい、どうしてCMBにむらが生じるのか?
動画では、研究者たちがCMBのむらを分析した結果、このむらは2次元の世界が3次元に“変換”されたことによって生じているという指摘を紹介している。2次元から3次元へと情報量を増やすとすれば、ある程度の“バグ”が生じたとしても確かに不思議ではないだろう。CMBのむらの正体は、デコードによって生じた“バグ”だったということにもなる。
ということはやはり、この世界は“ホログラム”なのか……。今後さらに研究が必要であることを強調してはいるものの、これまでまったく物証がなく“机上の空論”であったホログラフィック宇宙論において、有望なエビデンスが発見されたことは大きな前進といえるだろう。研究のさらなる前進に期待が膨らむ。
参考:「Daily Mail」、ほか
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