ついにパラレルワールドの探索が正式開始! 2018年LIGO×Virgoが“余剰次元の呼吸”検知へ!
■余剰次元の“呼吸”を検知せよ
「もし宇宙に余剰次元があるとすれば、重力波はどの次元にも波及していきます」と説明するのは、ドイツ・ポツダムにあるマックスプランク重力物理学研究所のグスタボ・ルセナ・ゴメス博士だ。
ゴメス博士と同僚のデイビット・アンドリオット氏は、余剰次元が重力波にどのように影響を及ぼしているのかを具体的に計算することに着手し、余剰次元が及ぼす2つの効果を発見したのだ。
その1つは余剰次元が高周波数での余分な重力波を発生しているはずであるということなのだが、現在の観測技術ではこの高周波帯の重力波を検知することはできないという。しかし検知できないだけで、宇宙のどこにでもこの高周波帯の重力波が波及しているということだ。
そしてもう1つは余剰次元が独特な方法でこの宇宙を膨張・収縮させていることだ。余剰次元が見せるこの独特の動きを、ゴメス博士は“呼吸モード(breathing mode)”と呼んでいる。呼吸するたびに我々の肺が拡張・収縮を繰り返しているように、余剰次元もまた呼吸するように時空を伸び縮みさせているというのだ。そしてこの模様は現在の技術でも観測可能であるという。
「余剰次元は重力波とは異なる方法で時空を伸ばしたり縮めたりしています。複数の検出器で同時に観測することで、この“呼吸モード”が起こっているかどうかを見ることができます」(グスタボ・ルセナ・ゴメス博士)
そして研究者たちの国際的な協力によって、LIGOに加えてイタリアのレーザー干渉計「Virgo」を同時に使って行う実験を2018年の終盤にも始める計画が進んでいる。まずは2台の干渉計を同時に使うことで、この余剰次元の“呼吸”を検知しようと試みる。
「余剰次元については、これまでもさまざまな観点から長い間議論されてきました。重力波は余剰次元を探す上で新たな展開をもたらすものになり得ます」と語るフランスの研究機関、エコール・ポリテクニークのエミリアン・デューダス氏によれば、高周波数の重力波を検出することができれば、余剰次元の存在が決定的なものになり、膨張と収縮を繰り返している“呼吸モード”を多くの理論によって説明することが可能になるということだ。
そして2034年に打ち上げが予定されている欧州宇宙機関 (ESA) が進めている、宇宙重力波望遠鏡「LISA」にも大きな期待が寄せられているのはご存じの通りだ。LISAのミッションでは3つの観測衛星によって宇宙空間に一辺が250万キロとなる三角形を形作ることで、より正確に重力波を観測することができるようになる。
平行宇宙や“異次元”は今、人類に発見されるのを待っているのかもしれない。まずは来年中にも始まる観測によってどのような発見がもたらされるのか大いに期待が膨らむ話題だ。
参考:「New Scientist」、「EWAO」、ほか
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