“失踪を繰り返す父”と“行方不明だった伯母”を撮り続けた写真家・金川晋吾インタビュー
“失踪を繰り返す父”と“行方不明だった伯母”を撮り続けた写真家・金川晋吾作品集『father』インタビュー
■やっぱり生きていくのが面倒くさい
――写真の並びは時系列ですか? 演出は?
金川 基本的には時系列で、演出はしています。でも自分としては演出という意識はあまりなくて。写真は父とのやり取りの記録でもあるわけで、撮るときに自分が介入したとしても、そのことも含めて写真には写ってくるというか、そういう私と父との関係性が写真に写ってくると思います。
――演出を加えることでむしろ関係性があぶり出される。お父さんの部屋は中年男の一人暮らし“らしい”散らかりようですが、失踪前は整っていたんですか?
金川 父は基本的にちゃんとしている人だから、いつもあんなに散らかってるわけじゃないですよ。ただ、「面倒くさい」っていうことにとらわれるとああいう状態になることもあるんだと思います。
――お父さんは、何か決断しなきゃならないことが目の前にある時、「面倒くさい」ってどこかに姿を消す感じですね。パニックとかではなく。
金川 そうだと思います。『father』の出版について相談した際に、2度目の失踪のことを尋ねたら忘れていたんですよ。それが自分としてはけっこう衝撃で。完全に記憶をなくしているわけでは全然なくて覚えていることもけっこうあるので、パニックで記憶が抜けたとかじゃないと思います。なんとなく他の記憶とごっちゃになっていて「そんなことがあったかもな」みたいないい加減に記憶しているというか。
――スナックで発見されたくだりを読んで「これは喜劇か?」と思いました。
金川 自分でも驚きました(笑)。
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2024.10.02 20:00心霊“失踪を繰り返す父”と“行方不明だった伯母”を撮り続けた写真家・金川晋吾作品集『father』インタビューのページです。渡邊浩行、金川晋吾などの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで