“失踪を繰り返す父”と“行方不明だった伯母”を撮り続けた写真家・金川晋吾作品集『father』インタビュー

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■度重なる父親の裏切りに「爽快感」を感じた

――金川さんが渡した大事なお金をパチンコに使っているお父さんに「何か突き抜けたものを感じて、怒りと共に爽快感のようなものを感じた」と日記に書いています。裏切られたら、怒りや失望は感じても爽快感は感じないと思うんですよ。

金川 渡したお金をパチンコに使うのは裏切りですから、それがわかったら俯瞰の立場に立てるっていう気持ちよさがあったんだと思います。父と子の関係性だけじゃない所に自分が行けるっていう。どこかで「父と子の関係性から逃れたい」「相手も無責任ならこっちも無責任でいいじゃない」って思いたいところがあったんでしょうね。


――そうなれば、父親の不甲斐ない姿を世間の目に晒すことの罪悪感のようなものが吹っ切れると?

金川 吹っ切りたい思いはあったと思います。でも、それとは別に「すごいなあ」っていう感心する感じというか、面白さみたいなものも感じていました。「普通、そこでパチンコに行くか」っていう。


――その面白さ、爽快さはわかる気がします。良し悪しは別として、お父さん自身の行動は筋が通っていて周囲の期待を裏切らない。

金川 その爽快感はあったと思うんですよ。失踪した時に心のどこかで「やった!」って思ったのと同じかもしれない。他人のことでは感極まって泣き出すような人なのに、家族のことでそうなることはない。もちろん、家族には感謝してると思いますけどね。僕に撮らせてくれるのもその表れだと思いますし。というか、こうやって自分のことを作品として発表されることを許容してくれているのはやっぱりすごいですよね。私は父のことをとらえがたい存在だみたいに語っていますが、実は父から見た私のほうがよっぽどよくわからない得体の知れないものだと思います。こうやって自分のことがなんだかよくわからないままに作品として発表されるというのは、かなり不条理な出来事だと思いますが、それも父は許容してくれているので。

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