
富岡町夜ノ森の桜並木、ウエディング(2014年春)
――廃墟写真と原発関連の写真の違いはなんでしょうか?
「僕は廃墟を死に絶えた空間としては撮っていないんです。廃墟のなかでコケや植物が繁殖していく再生の力、自然と同化していく過程に、儚さと一筋の希望を感じています。原発事故は僕らに想像を絶する時間の流れと向き合う状況を作りました。それを僕が長年やってきた廃墟写真の手法でどうあぶり出すか。とにかく足繁く通って風景の変化を記録し続けることにしました。撮影の目的地としては一番たくさん通ったんじゃないかな。そうなるととても愛着が湧いてきて浜通りは廃墟にはならない! と思うようになったんですけど、昨年、大熊町に行ったときに『あっ、廃墟の臭いだ!』というのが鼻について、もう元の姿には戻らない向こう側に行っちゃったなと悲しくなりました。」