【竹内薫インタビュー】ホーキング博士のKYエピソードがヤバすぎる!「重力波は宇宙人からのメッセージ」
イギリスの理論物理学者スティーブン・ホーキング博士の宇宙論から人生観までを解説した『ホーキング博士 人類と宇宙の未来地図』(宝島社)を出版したサイエンス作家の竹内薫氏への連続インタビュー企画。第2回では、ホーキングが宇宙のあり方やタイムトラベルの可能性をどう考えていたかについて聞いてみた。
――この本ではホーキングの「無境界仮説」について解説されていますね。宇宙の始まりを考えるために虚数の時間(虚時間)を導入するというものです。「虚数」と言われると、私たちの日常的な感覚ではそれが実在しないからおかしいような気がしてしまうわけですが、ホーキングとしてはそれが事実であってもなくてもどうでもよくて、それで宇宙の始まりについて整合的に説明ができればいい、ということなんですよね。
竹内:そうそう。理論物理学者がやっているのは「シナリオを考える」っていうことなんです。アラン・グースと佐藤勝彦先生の「インフレーション宇宙論」っていう仮説もあるし、「ベビーユニバース仮説」もあるし、宇宙が終わるときには物質がすべてちぎれちゃうっていう「ビッグリップ仮説」もあって。ものすごいたくさんのシナリオがあるわけです。実験とか観測をやることによって、これは現実に起きていない、これはSFだったよね、というふうに候補がだんだん外れていって、最終的にいくつかが残っていく。それが現実の宇宙に近いんじゃないだろうか。そんな話なんですよね。だから理論物理学者はみんな宇宙のシナリオを書いているんですよ。
――この本の中でも、宇宙論学者の仕事は「数学を使って論理的なSFを書くこと」だと言われていますね。
竹内:SF作家と違う点は、厳密に数式を使っているところ。数学的に整合性が保てないものは最初からダメなんですよ。数学的にはつじつまが合っていないといけないっていう縛りはあるんですよね。
――ホーキングは複数の宇宙が存在するという「マルチバース仮説」は支持しているんでしょうか。
竹内:支持しています。ただし、あまりにもいろいろな宇宙が可能だという究極のマルチバースとかは好きじゃないわけです。やはりこの宇宙に何らかの必然性が欲しい。だから、たくさんの可能性があるんですけど、何らかの理由でこの宇宙はこういうふうにできているんだろうっていうようなものを彼は目指していたんじゃないですかね。
――SF的な話になりますが、『君の名は。』に出てくるようなパラレルワールドというか、ほかの並行宇宙に行けるかどうかっていうことについて、ホーキングは何か言及していたりするんでしょうか。
竹内:どうですかねえ。もし、あるとしたら、1つはタイムマシンの話ですけど、タイムマシンで過去に行くっていうのは否定的ですもんね。あとは、ほかの宇宙とどうやって通信するのかっていう話があって、そのことについても特に言及はないですね。マルチバースと言っていいのか分からないですけど、ほかの次元との通信であれば重力を使うしかないと思うんですよ。恐らく重力だけがほかの次元に行くことができるので。もし2つの宇宙があったとしたら、その宇宙同士に重力的な相互作用ってあると思うんですよ。
――ほかの宇宙に対してメッセージを送れたりするんでしょうか?
竹内:重力波を使ってメッセージを送るしかないんじゃないですかね。いかんせん、重力波はあまりにも検出が難しいので、メッセージが送られてきていても受信できない、っていう話になるんですけど。
――実は別次元からのメッセージが重力波の形で来ていて、いずれそれを解読できるっていう可能性もあるんでしょうか。
竹内:可能性としてはあります。重力の測定がうまくできるようになれば、別の次元が証明できる日は来ると思います。
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