「ゆきゆきて、神軍」原一男監督の映画本刊行に50万円出資した“謎のサブカル支援者”とは!? 突撃インタビュー!

 去る11月某日、都内某所の古民家。赤い光で妖しく照らされた室内に、個性豊かな面々が集結していた。

 SMアイドルのフェッティーズのメンバー、Rさん、NEKOさん、ハル・シオンさん。「トカナ」の連載でもおなじみの作家・石丸元章さん。『ゆきゆきて、神軍』などの強烈なドキュメンタリー映画で知られ、最新作『ニッポン国VS泉南石綿村』でもアスベスト訴訟を巡る人々の様々な感情を撮った原一男監督だ。

1811harakazuo-1ポーズについて打ち合わせするフェッティーズと石丸元章さん

 もともと写真を学んでいた原監督が久々にスチールのカメラを手に取り、フェッティーズ&石丸さんを被写体にして写真撮影を行なっているのだ(ちなみに、高樹沙耶さんとの対談連載第5回でも語られたとおり、石丸さんは脳卒中で入院中だが、今回の撮影には病院から外出許可を得た上で参加した)。

 この撮影は、映画誌『キネマ旬報』を発行する出版社、キネマ旬報社が実施したクラウドファンディングがきっかけとなって行われた。クラウドファンディングは原監督の全仕事に迫る書籍タブーこそを撃て!原一男と疾走する映画(ムーヴィー)たち(発行:キネマ旬報社 価格:1750円+税)の出版に対しての支援を募るもので、最高額50万円の出資へのリターン(特典)が「原一男があなたを撮影いたします」だった。これが発端なのだ。

1811harakazuo-2原一男監督

 だが、「あなたを撮影いたします」という文言から連想される撮影と、原一男×フェッティーズ×石丸元章というコラボは大きくかけ離れている。実はクラウドファンディングの出資者の西田進さんという一人の男性が、「文化的な下地が全然違う人たちがひとつの写真を作る」(Rさんのコメント)、「謎のコラボ」(NEKOさんのコメント)を仕掛けたのである。西田進さんは一体どういう人物なのか? どういう経緯でこの強烈な撮影が成立したのか? メールによるインタビューでじっくりと聞いた!


──原一男監督のクラウドファンディングに協力なさった理由を教えてください。

西田 私、自撮りとか嫌いなんですよ。証明写真すら苦手で(汗)。あ~イケメンに生まれたかった!!(涙) 撮られるのは苦手だけど、原監督が撮ってくれるなら一生の思い出にもなるし、いいんじゃないか? そういう単純な発想から始まりました。本当に軽い気持ちだったんですよ。

──そこで出したお金は何と50万円!

西田 普通に考えたらイカれてますよね。私って、最後の最後まで考えて最悪の選択をするというポンコツなんですよ(汗)。でも、世界的な監督が自分だけの為に写真を撮ってくれるという機会は人生に一度あるかないかじゃないですか。このようなクラウドファンディングが今後あるかといったら分かりませんし、だったらこのチャンスを逃す手はないだろうと思った訳です。

──原監督の作品はお好きだったんですか?

西田 ずっと前に『ゆきゆきて、神軍』を観て「おお、これはすごい!!」と思っていました。原監督というより先に作品に惹かれたという感じです。まともに観たのは『ゆきゆきて、神軍』と『全身小説家』くらいで、他の作品は観たくてもなかなかチャンスがなくて、予告編などをちらっと観た程度でした。今年の渋谷のUPLINKでの「夏の神軍祭り」(原監督作品上映会)で、念願の『さようならCP』や『極私的エロス・恋歌1974』もやっと鑑賞。新作の『ニッポン国VS泉南石綿村』でも勢いは衰えておらず、よくそこまでカメラを回すなと驚愕と共にエネルギーを感じます。

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