方南町で「真っ黒な母」を描く“日本版ヘンリー・ダーガー”と遭遇し…【バンアパ原昌和・聖糞飛来通信】
母の日になると、「お母さんの似顔絵コンテスト」が開催されて、それ専用の似顔絵用紙をもらって、描いてレジに持っていくと、店内に貼ってもらえるし、チョコレートを一枚もらえるんだ。
俺は母の日が近くなると、その用紙をうちのバンドの奴等にも渡して、似顔絵を描いてもらってコンビニに貼り出して貰ってた。
深夜帯の奴等とも、「お母さんの似顔絵」と言う題材で、見た奴が吹き出す様な絵を志し、競い合う様に貼って、入店するたび増えていく新しい絵を見て笑い合ってた。
ある日入店すると、「マザーテレサ」「宇宙空間に浮ぶ地球の絵」「20万年前のアフリカの女性の絵」などが飾ってある中、「全体的にバックが灰色で塗られている中に、真っ黒な油絵の具を、何度も何度も憎悪を込めて塗り重ねて描かれた『顔』の様なもの」が新たに追加されていた。しかも、専用の用紙ではなく、しっかりとした布のキャンバスに描かれていた。
見た瞬間、それは全身に鳥肌が立つほどの禍々(まがまが)しさを放っていた。「一体、母親に対して、どれほど憎悪を抱けば、これを描けるのだろうか」と俺は思った。
俺達の軽い気持ちの大喜利バトルは、その絵の出現によって呆気なく終わり、その年の俺達の中での「大賞」をかっさらっていったのだ。
俺は店員の友達に「これ描いた人誰なの? 客? どんな奴なの?」と、興味本位のままに聞いた。
すると「元絵描きのオッサンだよ。あっ丁度来た。あのオッサン」と指を指した。
そっちを見ると、オーバーオールを着て、目がギョロッとした「正真正銘のシャブ中」と言う風体の男が居た。
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2024.10.02 20:00心霊方南町で「真っ黒な母」を描く“日本版ヘンリー・ダーガー”と遭遇し…【バンアパ原昌和・聖糞飛来通信】のページです。絵画、画家、絵、the band apart、聖糞飛来通信、バンアパなどの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで