ーー出会いがあったんですね。
野村 後から知りましたし、たまたまなんですが、写真家の本橋成一さんが監督したドキュメンタリー映画『アラヤシキの住人たち』の舞台にもなった所で、小谷村の山の上に真木共働学舎という半自給自足を目指すコミュニティがあります。その共働学舎の方々と行った初日に出会い、泊めてもらえることになって、そこから始まりました。その後、地元で猟も行う他のコミュニティに行ったら、偶然にも、私のことを知っている人がいたんですよ。
ーー奇遇ですね。どんな関係の方だったんですか?
野村 オーロラクラブっていう星野道夫さんの子供キャンプチームのメンバーの男性。私もかつてメンバ-でした。奥さんも写真家で、彼女の周囲の人たちも私のことを少し知ってくれていて。そこから次々につながっていきました。写真家に対して理解がある人たちだったんですね。よくわからない女だけど営利目的じゃなく写真を撮りに来ているんだって、なんとなくわかってもらえていたんだと思います。
ーー写っている小谷村の人たちはどんな人たちなんでしょう?
野村 村の若手は、もともとから地元の人もいますが、多くは何かしら意識を持ってあとから入ってきた人たちが多いですね。都会で一通りいろんな経験をして、そういう暮らしをしようとあえて入ってきた人たち。地元で生まれた子たちは仕事がないから、だいたいは外に出てしまう。70%以上が65歳以上ですからね。「よし、ここで腰を据えて生きていくぞ」っていう意識ある人たちが頑張っている場所です。