ーー小谷ではどんな生活を?
野村 自分たちが食べるぶんのお米を育てて、もち米を育てて、豆を育てて。春は山菜。秋はキノコ。肉はジビエ。味噌、醤油、野菜は、売るほどはないけれど自分たちで作る。半自給自足で成り立っていると思います。
ーー実際に通ってみて小谷の生活はどうでしたか?
野村 私は街っ子だけれど、いろいろな場所を旅していたから、そういう生活をわかっていたつもりだったんです。けれど、彼らと一緒生活してみて、全然わかっていなかったんだと思い知りました。
ーーどういうことでしょうか?
野村 まずは、時間の流れが違うんですよ。山と寄り添って生活していて、畑もある、家畜もいるから土日とか関係ない。土が見えている時期の日の出ている間は猛烈に働く。雨が降ったら休む。雪の時期は雪かき以外には家仕事をする。「雪かきは大変だけれど(畑仕事を休めるから)ある意味ご褒美だ」って。自然の流れ、四季に寄り添った生活をしている点で、私のような社会時間に仕切られた都市居住者とは違うんだって。