【ガチ】「我々の時間の概念は根本から間違っている」「過去や未来も主観次第。“今”は瞬間ではなく“泡”」理論物理学者が強調!

 エントロピー、あるいは無秩序さを示す順番は主観的なものであり「秩序は見る人の認識次第です」とロヴェッリ氏は指摘する。言い換えれば、過去と未来の区別、つまりエントロピーの時系列的な増大は、主観に依存するということだ。「システムについての説明は、そのシステムへの関わり方によって異なります」とロヴェッリ氏は説明する。つまり何を時間的に近く、何を遠くに感じるかはまったく主観的なものであるというのだ。確かに、時間的にはかなり昔の出来事であるのに、まるで“昨日のことのように思い出す”思い出もあるだろう。

 2017年発行のロヴェッリ氏の近著『The Order of Time』では、世界はモノからではなく出来事からできていることを主張し、この出来事の世界では秩序は一過性のものであり、変化することのほうが普遍的な現象であることを説明している。

「(時間を研究するということは)ひとひらの雪を手のひらの上に受け止めることであり、知れば知るほどにそれは徐々に指の間で溶けていき、無くなってしまうのです」と同著の中で記述されている。

画像は「Wikimedia Commons」より

“人生100年時代”を迎えて、実年齢と健康年齢のギャップは個人間でますます開きつつある。76歳の日本人の健康状態は46歳のパプアニューギニア人と同じという研究も報告されて世を驚かせている。齢を重ねたからといってノスタルジックで輝かしい思い出に浸っているばかりでなく、ひとかたまりの“泡”である“今”を生きることに専心することが若さの秘訣なのかもしれない。

参考:「Nautilus」ほか

文=仲田しんじ

文=仲田しんじ

場末の酒場の片隅を好む都会の孤独な思索者でフリーライター。
興味本位で考察と執筆の範囲を拡大中。
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