『ニッポン国VS泉南石綿村』アスベスト問題を追った映画監督・原一男が語る裏話! 国と戦う市民団体「怒っていいんだよ…」

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『ニッポン国VS泉南石綿村』(C)疾走プロダクション

石丸 だから、石綿問題に興味がない人が見ても引き込まれていく。人間の感情が描かれてるから。そして、監督は怒ってる人が好きなわけ。

 基本的にはね。

石丸 みんなが「その話はもういいよ」「もう話したくない」って言ってることに対して、「いやいや、俺は怒ってる!」と、ぶっちぎりで怒り狂って見せる──というのが『ゆきゆきて、神軍』の奥崎謙三の突出したスタイルだった。

──今回の映画ですと、国と戦う市民団体の代表の柚岡一禎さんが怒ってる人でしたね。柚岡さんが自分たちの主張を伝えるために官邸に突入しようとする場面は緊迫感がありました。

『ニッポン国VS泉南石綿村』制作スタッフ 海外で上映した際に、中国では「柚岡さんみたいな人は病院に閉じ込められるか、気がついたら処刑されてる」と言われましたね。韓国では被害者の方々がストレートに怒りを見せないので「なんで怒りを出さないんだ。もどかしい」とも言われました。

右の人物が柚岡さん『ニッポン国VS泉南石綿村』(C)疾走プロダクション

 

石丸 怒りをどう表明するかって、極めて今日的な問題です。“怒る”って実は難しい。現在生きている我々は、激しい怒りを表現すると、すぐに「クレーマーだ、モンスターだ」と、問題視される。

NEKO 今、私のまわりにいる地下アイドルの女の子とか見てると、怒る代わりに病む人が多いです。怒りの感情が鬱の方に向いてリストカット、OD(オーバードーズ)みたいな病んだ表現をしてますね。多分、アイドルじゃなくても怒れず鬱病になる人は多いと思う。

制作スタッフ 原告の方々が怒らないから、柚岡さんは半分は「怒れよ」っていうパフォーマンスで怒ってたと思います。すごく紳士的な方なんですよ。

 気遣いもちゃんとして、根っこは優しい人ですよ。だから、怒っていいんだよってことを見せるために率先して怒った。

石丸 柚岡さんは正しいことをやっている人なのに、今の基準で眺めるとモラルを逸脱した人に見えるんですよ、大きな声で怒ってるから。恫喝ですよ、いわゆる。だけど彼が怒ったことで、厚労大臣が謝るところまでたどり着いた。怒るって大切なことなんですよね。

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