だから日本の「大麻議論」は未熟すぎる! 米国の“マリファナ行政”から徹底考察
だから日本の「大麻議論」は未熟すぎる! 米国の“マリファナ行政”から徹底考察せよ!!(高樹沙耶×石丸元章×野々村文宏)
●大麻を産業界の商品にしてはいけないと言う動きもある
野々村 わかりやすい話をすると、政治家が州法レベルで大麻解禁を持ち出すときに、いちばん説得力があるのは、税金! ですよ。大麻によって得られた税収をこれに使いますという。タバコだって、アルコールだって、税金がかかっていますからね。
昔からのヒッピーイズムでは、大麻は自然なもので、野草なのだから、自然のまま、つまり無料がいいんだ、ということになりますが、現実としては資本主義社会のなかで成り立っているのは、経済ですから、NY知事のクオモが税金の使い道を、老朽化が激しいNY地下鉄の補修費用に当てたり、ハーム・リダクション(ハードドラッグ依存症の患者により危険性の低い代替ドラッグを与えて守る)に使うことを決めているのも大きい。大麻解禁で重要なのは税金と経済、新しい産業≒雇用なんです。
高樹 大麻は医療用にもなるし、産業用にもなるのは明らかなので、それをどなたかが公の場で言ってくれることになるとですね。
野々村 議論にならないときに先行事例を出すことが説得力を持ちます。アメリカの何とか州ではこういうふうに経済が動いて、税金はこう使われましたというようなね。そういう例をだすと、みんな、興味を持って聞いてくれるところがある。
石丸 クオモモデル、詳しく知りたいですね。
野々村 まさに、これからなんです。そして、そういうことは政治家たちは考えていると思うんですよ。とくに若手秘書なんか、いつ、大麻が票に結びつくかを考えている。いつ、そういうことをやれば、有権者は納得するかを考えていると思うんです。そういう意味でも、高樹さんはちょっと早かった。
高樹 でも、いいんですよ。私はそういう役回りで……。それに早いの、遅いの言ったって現実問題、私の後、政治の場で大麻の話をして下さる方はまだ一人も出てませんからね。
石丸 ただ、昔からの大麻解放論者には、解禁を自分のビジネスの絶好のチャンスにしようとしているベテランもいて、ここに来て政治家が介入し始めることがイヤだと言う人もいるんです。大手の企業が参入してくるようなことも喜ばない人もいる。そのへんは、高樹さんもよくわかっているんでしょうけれど。
高樹 いや、きれいごとを言ったって、賢い人が勝つんじゃないでしょうか? ただ、私個人の気持ちとしては、お酒やタバコみたいに国が全部牛耳るんではなくて、個人でつくる枠をつくってほしいということです。
野々村 ボクもそこを言いたかったんだけれども。これは噂レベルですが、NYのクオモ知事も1人4株まで栽培を認める可能性があるという話も出回っています。
石丸 高樹さん、4株ってどのくらい吸えるんですか?
高樹 育て方にもよりますからね(笑)。
野々村 ワシントンDCだと、1人6株。
石丸 ワシントンDCが2株多いのはなぜだ。
高樹 NYはアパート暮らしの人が多くて、部屋もベランダも狭いから4株で十分だって思ったんじゃないかしら(笑)。
野々村 個人の権利も守ってほしいという議論もあります。
高樹 そうですよね。
野々村 大麻を既存の経済の枠組みに組み込むことを拒む人たちの権利として、個人使用に関して何株までの栽培はいいですよ、と決めているところがあるんです。
高樹 大麻っておもしろくて、成分を抽出して濃縮したオイルにすると更にすごい効果を持った凄い治療薬になっているんです。大麻業界ではとても有名なモノでリックシンプソンオイル(以下、RSO)っていうんですが、医者が匙を投げたステージ4の皮膚ガンの診断を受けたリック・シンプソンさんというカナダの方が「大麻を使って自力で治してやるっ‼」って大麻の抽出方法を自分で研究してオイルを作り、それを塗って、服用して、吸ってとやっていたらガンが治ってしまった。これは他の病気にも有効だったみたいでその後、小児がんをはじめとする沢山の難病患者を治してしまった。あまりにも多くの人を救ってしまったからアメリカの国立がんセンター(NCI)も大麻がガンに効くと認めざるをえなくなってしまった。
ただ、同じようなものを化学物質で合成して作ると、今度は合成THCとなり脱法ドラッグになっちゃうんですよね。化学的に合成されたTHCはレセプターからはずれなくなっちゃうから、ほんとは製薬業界も大麻由来の製剤をやりたかったんですが、薬として販売するには生薬だから成分が安定しない。化学合成すれば脱法ドラックになっちゃった。大麻を使って民間療法的に個人がRSOを使って次々と難病が治っていくのを指を咥えてみているしかなかった。そういうことを含めて、大麻草が神の草と言われる由縁があると思う。ナチュラルな状態で使ってこそ、効果があるという。そこが大麻のおもしろいところだと思うんです。
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2024.10.02 20:00心霊だから日本の「大麻議論」は未熟すぎる! 米国の“マリファナ行政”から徹底考察せよ!!(高樹沙耶×石丸元章×野々村文宏)のページです。ニューヨーク、高樹沙耶、米国、対談、大麻、石丸元章、野々村文宏などの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで