本当にあった「眼帯」にまつわる超怖い話 ー 死んだ少年が付いて来る…川奈まり子の実話怪談『僕の左に』

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イメージ画像は「Getty Images」より引用

 その夜は実家に泊まった。

 実家に来ると、以前自分が使っていた2階の部屋で寝る習慣だった。前回の訪問まではまったく気にならなかったのだが、この部屋の窓からは、道路を挟んで斜め向かいの圭くんの家がよく見える。

 正確を期すなら、昔、圭くんが住んでいたが、今は知らない人たちが暮らしている場所ということになるが。家も建て替えられているはずだ。

 けれども、その夜は、黒っぽいスレート葺きの屋根にクリーム色のモルタルの壁が見えた――圭くんの家だった。

 なぜかはわからないが、驚きは薄かった。驚愕する代わりに、ふと20年以上前の景色を想い起した。

 小1になったばかりの頃、帰宅してすぐ2階の子ども部屋から圭くんの家の方を見たら、圭くんも同じように2階の窓から顔を突き出したから、手を振り合ったのだ。

 そんなたわいもないことが、たまらないほど楽しくて、しばらく毎日やっていたけれど、いつの間にかやらなくなった。

 ――たぶん僕から止めたんだ。

 悲しい気持ちで窓から離れた。ベッドに入ると、左側に子どもが寝ている気配が次第々々に強まるのを感じた。

 恐る恐る左手を横に伸ばしてみて、何も触らなかったことにホッとした。

 翌朝、窓から斜め向かいの家を見てみたら、まったく違うモダンな建築の家になっていた。

(つづきはこちらのリンクから)12日12時配信。

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文=川奈まり子

東京都生まれ。作家。女子美術短期大学卒業後、出版社勤務、フリーライターなどを経て31歳~35歳までAV出演。2011年長編官能小説『義母の艶香』(双葉社)で小説家デビュー、2014年ホラー短編&実話怪談集『赤い地獄』(廣済堂)で怪談作家デビュー。以降、精力的に執筆活動を続け、小説、実話怪談の著書多数。近著に『迷家奇譚』(晶文社)、『実話怪談 出没地帯』(河出書房新社)、『実話奇譚 呪情』(竹書房文庫)。日本推理作家協会会員。
ツイッター:@MarikoKawana

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