本当にあった「眼帯」にまつわる超怖い話 ー 死んだ少年が付いて来る…川奈まり子の実話怪談『僕の左に』

本当にあった「眼帯」にまつわる超怖い話 ー 死んだ少年が付いて来る…川奈まり子の実話怪談『僕の左に』の画像4
イメージ画像は「Getty Images」より引用

 圭くんは何も悪くなかった。一緒に登下校する習慣だった。ただいつものように諭司さんと帰ろうとしただけだ。1年生のときからずっと同じクラスで、いつも2人でつるんでいるのが当たり前になっていた。どちらかが先に勝手に帰ってしまうなんて、それまではありえないことだったのだ。

 けれども諭司さんは、帰り支度が遅い圭くんを待っているうちに、Aくんに話しかけられたのだ。

 夏休み中に家族で行ったゲームセンターで、同じように両親と来ていた隣のクラスのAくんと偶然出会い、一緒にクレーンゲームやシューティングゲームをした。Aくんは頭の回転が速く、物知りで、話が面白かった。自発的で、物怖じしない性格でもあった。何もかも圭くんとは大違いだった。その後、双方の親が打ち合わせをして、連れ立って市営プールに行ったり映画を観たりしたので、諭司さんとAくんとは一気に付き合いが深まっていた。

 そんなことになっているとは、圭くんには知る由もなかったのだけれど。

 でも、諭司さんはAくんが自分の教室にやっていて「一緒に帰ろう」と誘ってきたとき、反射的に「うん」と答えてしまった。

 このとき圭くんが何か言ってくれたら、自分は振り向いたかもしれないと諭司さんは思う。圭くんも入れて、3人で下校していたら、どんなにか良かっただろうか。

 しかし圭くんは無言だった。そこで諭司さんは圭くんに背を向けて、Aくんと2人で廊下を歩きはじめたのだ。

 そしてすぐにAくんとの会話に夢中になった。圭くんがずっとついてきていたことに気づいたのは、Aくんと別れた直後だった。

 諭司さんの家より、Aくんの家の方が学校に近かった。Aくんに「またね」と言ったとき、なんとなく気配を感じて振り向いたら、20メートル以上後ろに離れたところに圭くんが居て、恨めしそうにこっちを睨んでいた。

 諭司さんは慌てて逃げた。

「諭司くぅん! 待ってよぉ!」

 走っていると、幼い頃から聞き慣れた声が後ろから飛んできた。

「諭司くぅん!」

 何度も呼ばれたけれど、諭司さんは家まで一度も振り向かなかった。

 圭くんが大型トラックに轢かれて死んだことを知ったのは、自分のうちの玄関に飛び込んでからたった1時間後のことだった。

関連キーワード:, , ,

人気連載

danger
イタコ、霊媒、エロ祈祷…エログロナンセンスな超常現象ドキュメンタリー『恐怖・怪奇・悪霊 超常現象の世界』とは?

イタコ、霊媒、エロ祈祷…エログロナンセンスな超常現象ドキュメンタリー『恐怖・怪奇・悪霊 超常現象の世界』とは?

※こちらは2020年の記事の再掲です。 ――絶滅映像作品の収集に命を懸ける男・...

2024.02.27 08:00奇妙
青酸カリで人を殺すのは意外と難しい。推理小説のトリックは概ね間違いだった!?

青酸カリで人を殺すのは意外と難しい。推理小説のトリックは概ね間違いだった!?

【ヘルドクター・クラレの毒薬の手帳 第1回、青酸カリ/後編】  ※本記事は2...

2024.02.07 08:00科学
【毒薬の手帳】ググっても出てこない、青酸カリの本当の話

【毒薬の手帳】ググっても出てこない、青酸カリの本当の話

本記事は2015年に掲載された記事の再掲です。 【ヘルドクター・クラレの毒薬の...

2024.02.06 08:00科学
九州地方で正月に行われていた飲尿儀式の伝統があった!?

九州地方で正月に行われていた飲尿儀式の伝統があった!?

※本記事は2018年の記事の再掲です。 【日本奇習紀行シリーズ】 九州地方 ...

2023.12.30 08:00奇妙
運気を爆上げして「引き寄せの法則」を発動!! 激動の時代を生き抜くための波動グッズ3選

運気を爆上げして「引き寄せの法則」を発動!! 激動の時代を生き抜くための波動グッズ3選

癒しフェア 2024in大阪 広瀬学 講演 「アリス矢沢透のなんでも応援団!内...

2024.04.19 10:00スピリチュアル

本当にあった「眼帯」にまつわる超怖い話 ー 死んだ少年が付いて来る…川奈まり子の実話怪談『僕の左に』のページです。などの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで

トカナ TOCANA公式チャンネル