本当にあった「眼帯」にまつわる超怖い話 ー 死んだ少年が付いて来る…川奈まり子の実話怪談『僕の左に』

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イメージ画像は「Getty Images」より引用

 圭くんは何も悪くなかった。一緒に登下校する習慣だった。ただいつものように諭司さんと帰ろうとしただけだ。1年生のときからずっと同じクラスで、いつも2人でつるんでいるのが当たり前になっていた。どちらかが先に勝手に帰ってしまうなんて、それまではありえないことだったのだ。

 けれども諭司さんは、帰り支度が遅い圭くんを待っているうちに、Aくんに話しかけられたのだ。

 夏休み中に家族で行ったゲームセンターで、同じように両親と来ていた隣のクラスのAくんと偶然出会い、一緒にクレーンゲームやシューティングゲームをした。Aくんは頭の回転が速く、物知りで、話が面白かった。自発的で、物怖じしない性格でもあった。何もかも圭くんとは大違いだった。その後、双方の親が打ち合わせをして、連れ立って市営プールに行ったり映画を観たりしたので、諭司さんとAくんとは一気に付き合いが深まっていた。

 そんなことになっているとは、圭くんには知る由もなかったのだけれど。

 でも、諭司さんはAくんが自分の教室にやっていて「一緒に帰ろう」と誘ってきたとき、反射的に「うん」と答えてしまった。

 このとき圭くんが何か言ってくれたら、自分は振り向いたかもしれないと諭司さんは思う。圭くんも入れて、3人で下校していたら、どんなにか良かっただろうか。

 しかし圭くんは無言だった。そこで諭司さんは圭くんに背を向けて、Aくんと2人で廊下を歩きはじめたのだ。

 そしてすぐにAくんとの会話に夢中になった。圭くんがずっとついてきていたことに気づいたのは、Aくんと別れた直後だった。

 諭司さんの家より、Aくんの家の方が学校に近かった。Aくんに「またね」と言ったとき、なんとなく気配を感じて振り向いたら、20メートル以上後ろに離れたところに圭くんが居て、恨めしそうにこっちを睨んでいた。

 諭司さんは慌てて逃げた。

「諭司くぅん! 待ってよぉ!」

 走っていると、幼い頃から聞き慣れた声が後ろから飛んできた。

「諭司くぅん!」

 何度も呼ばれたけれど、諭司さんは家まで一度も振り向かなかった。

 圭くんが大型トラックに轢かれて死んだことを知ったのは、自分のうちの玄関に飛び込んでからたった1時間後のことだった。

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