アジアで巨大地震を引き起こす“謎の塊”が新発見される! プレートでも火山活動でもない「第三の地震」メカニズムとは!?

■“第三の地震”発生のメカニズムとは?

 硬い岩肌の山岳は地表から上空にそびえているばかりでなく、同じくらいのボリュームで地中に向かっても延びているのだ。水面下にもかなりのボリュームの氷がある北極の氷山のように、山は地中深くにも“そびえて”いるのである。

 イメージとしては菱形のダイヤモンドを砂場に立ててみた様相になるだろうか。地表面から上下に延びている硬い岩の塊がこのヒンドゥークシュ山脈ということになるのだが、その地下方向に先細りになっていく“山頂”の先端からは地熱でドロドロになった“水滴”がさらに地中深くへと垂直に滴り落ちているのだと研究チームは説明している。

アジアで巨大地震を引き起こす謎の塊が新発見される! プレートでも火山活動でもない「第三の地震」メカニズムとは!?の画像3
カルパティア山脈 画像は「Wikimedia Commons」より

 滴り落ちた“水滴”はいずれ地球のマントル層にまで到達する。暑く熱したフライパンの上では、たとえお湯の一滴であってもこぼれ落ちれば“ジュッ”と激しく焼けて瞬時に水蒸気に変わる反応を見せるが、それと同じように山脈から滴り落ちた“水滴”がマントルに接触した時に水蒸気爆破に類する反応が引き起こされて地震の原因になるということだ。

 この地で発生する地震の震源の深さの最も多い範囲が地下160~230キロメートルであることも、この研究チームの仮説を裏付けるものになる。“水滴”とマントルの接触地点はこのレンジの深度なのだ。研究チームによれば、ヒンドゥークシュ山脈でこのタイプの地震が起き始めたのは1000万年も前にさかのぼるということだ。

 またこのタイプの地震はヒンドゥークシュ山脈だけでなく、チェコ共和国から東のルーマニアにまたがる、1500キロメールにも及ぶカルパティア山脈でも見られる現象であるという。

 プレートの移動でもなければ火山活動でもない、新たに見つかったこの“第三の地震”が世界のほかの地域でも起こっていないのかどうか気になるところだ。


参考:「Live Science」、ほか

文=仲田しんじ

場末の酒場の片隅を好む都会の孤独な思索者でフリーライター。
興味本位で考察と執筆の範囲を拡大中。
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