女性でも男性でもない「Xジェンダー」を確率論的に考察! 二封筒問題から考える性自認の公共性/東大教授・三浦俊彦
数学者とXジェンダーが共通しているのは、ともに「不明」を一つの数値のように扱う態度です。「左の封筒が低額」である確率は、未開封のとき1/2、開封した途端「不明」……ってそれ、「不明」という特定の値に変化したという意味でしょうかね? (左、右)=(1万、2万)の事前確率は「不明」だからこそ、左が低額である確率は「もともとわかっていた1/2のままで変化させず」とするのが健全に見えますけど……?
不明な事柄はデータ改訂に使っちゃダメ。それ科学的常識なのでは。開封前の(1万、2万)の事前確率なんてわかりっこないんだから、特定金額によるその記述は無視して、「左が低額の事前確率=1/2」という記述の方を計算に使おう、ってだけのことですが。
ジェンダーも同じでしょう。可能的生誕様式の事前確率分布が不明なら、戸籍&身体に即した現在のIDのままでいけばよいだけのこと。つまり〈変える理由なし〉が正解で、あえて〈「不明」に変える理由あり〉とリキむのは……むろん個人の自由ではありますが、他人の賛同や社会的な承認・配慮を求める筋合いのものかどうか……?*
注*「健康診断問題で、病気Kの罹患率(検査前の事前確率)がわからないと、陽性の人が病気Kである確率は計算できませんでしたよね。それと同じというわけです」と言ってるのはどうなの? 健康診断の場合ほんとに「不明」だよね、というツッコミが予想されますが、これは空振りに終わります。
罹患率のわからない病気の健康診断の場合は、自分が病気Kである確率が判明した瞬間が一度もないので、最後に「不明」のままでOK。
一方、2封筒問題とXジェンダーの場合は、いちど「1/2」「女」と確定してから、事前確率ゆえに「不明」に戻る、という計算がおかしいわけです。
この疑問は、いったい数学者は主観確率を正しく理解してきたのか、という詮索とつながりそうです。MtX、FtXといった性自認がどれほど公共性を要求しうるのか。これはさしあたり、ジェンダー学者や心理学者より、数学者にぶつけるべき問いのようですね。
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2024.10.02 20:00心霊女性でも男性でもない「Xジェンダー」を確率論的に考察! 二封筒問題から考える性自認の公共性/東大教授・三浦俊彦のページです。数学、性別、確率、Xジェンダー、ノンバイナリー、健康診断問題、二封筒問題などの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで