”人類滅亡恐怖症”の東大教授が選ぶ「最高の滅亡映画」5選! 隕石・核兵器…狂気の哲学者バートランド・ラッセルが水爆を愛した理由も!

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『未知への飛行』(Happinet)

 その決断とは? ネタバレを避けてここでは伏せましょう。とにかく「おいおいそれでほんとに解決するのかよ(orそうしないと解決しないのかよ)、子どもかよ」な理不尽ぶりがズッシリのしかかってきます。もともと戦争なんて子どものケンカ以上の高尚な理屈なんて無かった。そんな真実に強引に気づかされる唖然展開なのでした……。

 核戦争の恐怖は、人間の愚かさが100%を占める集団自殺の怖さですね。自由意思で引き起こす怖さです。対して天体衝突の恐怖は、人間の努力も過失も愚かさも賢さも全く関与しようのない、人間要因0%の圧倒的運命論の怖さです。

 核兵器の発明によって、人類の意図的な自殺が可能になった。改めてそこに気づくと怖いですね。他方、自殺できるのにあえて生き続けるという、自由意思の宿業への気づき。これも怖いですね。かと思えば、そんな人類自身の自由意思など無に等しいほどの、天体衝突のような超絶運命がいつ降りかかってもおかしくない太陽系メカニズムを調査し、知りえてしまった現代科学の気づき状態はなお恐ろしい。

 そう。人類滅亡映画の怖さは、滅亡そのものの怖さというより、「もろもろ気づいてしまう」という現状の怖さなのかも。わが「人類滅亡恐怖症」に『メランコリア』が気づかせてくれたとき(人類のためにいま死ねるだと?)その気づきそれ自体がほんのり怖かったですし……。

文=三浦俊彦

1959年生まれ。東京大学総合文化研究科博士課程単位取得退学。現在、東京大学文学部教授。専門は、美学・分析哲学。和洋女子大学名誉教授。著書に『バートランド・ラッセル 反核の論理学者:私は如何にして水爆を愛するのをやめたか』 (学芸みらい社、2019年)、『エンドレスエイトの驚愕: ハルヒ@人間原理を考える』(春秋社、2018年)、『改訂版 可能世界の哲学――「存在」と「自己」を考える』(二見文庫、2017年)など。
Twitter:@tmiura_bot

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