本当にあった北九州の「呪われた村」の怖い話が本当に恐ろしい! 馬の首、見てはいけない岩…実話怪談「血蟲の村」!
「神降ろし用の小屋が神社の境内の外にありました。大祭の夜になると、神社から迎えが来て、そこまで連れて行かれるんです。白装束を着せられ、手を引かれて歩いていくんですが、そのときには飢餓状態でフラフラになっています。頭もボーッとしていて、なのに、五感が研ぎ澄まされて、とても鋭くなっているんですよ。特に音に敏感になって、遠くで落ちた水滴の音も聞こえました」
小屋に着くと、中で正座させられて、そこへ集落の人々が訪ねてきて、彼女に質問をする。今年の農作物の実り具合や害虫や病害について、天候についてなど、この地域住民に多い農業や林業に関する問いが多かったそうだが、中には、家族間の軋轢を解消する方法や、結婚についてなど、個人的な相談もあった。
「小学生にそんなことがわかるわけがないんですけど、そのときは、なぜかスラスラと答えられるんです。飢えと眠気で頭がぼんやりしていて、質問の内容は、よく憶えていないんですよ。ただ、なぜかちゃんと答えていたという記憶はあります」
この神降ろしは一晩中続けられ、朝になると終わる。
質問者は果物やお菓子などを持参してきて、美津子さんが座っている小屋に捧げていくから、夜明け頃には小屋はごちそうだらけになった。
「すぐにも食べたかったんですけど、胃が小さくなってしまっているので、重湯から始めて3日ぐらいで元の食事に戻すんですよ」
子どもにとってはかなり辛かったはずだが、美津子さんは、「宮柱の子だからやらなければいけないという使命感がありました」と話した。
「それに、母がとても厳しかったんです!」
美津子さんの母は、他所から来て最初は亥の子祭の唄に慄くなど、地域の習俗に違和感を覚えていたが、次第に、決まり事については非常に厳格に守るようになっていったようだ。
「夜に見てはいけない岩を見てしまったときや、入ってはいけない山で遊んだときなどは、それはもう、物凄い剣幕で母に叱られました」
夜に見てはいけない岩というのは、ちょうど美津子さんの家のすぐそばにある崖から突き出した巨岩で、それ自体、不思議な奇観を呈していた。
崖の頂き近くに、異物をくっつけた、もしくは生え出したような格好の大きな岩があって、その上部は大人が3人ぐらい立てるぐらいの平らなスペースになっているのだ。自然に造られたステージのようなようすだが、下は深い谷底で、断崖絶壁を上り下りするわけにはいかないから、岩に乗るなら山側から行くしかない。しかしそれもとても危険で、誰も近づかなかった。
そんな岩が、偶然ちょうど、美津子さんの部屋の窓からよく見えた。
小学校にあがる頃になると、夜になっても子ども部屋で起きていることもある。好奇心も強くなり、親に逆らうことも覚える。
「あの岩は、昼間はいいけれど、夜になったら決して見てはいけないよ」
物心つく頃からずっとそう諭されてきたけれど、6歳にもなると「どうして?」と訊き返すようになった。ところが、両親はその質問には答えてくれない。だからますます興味をそそられてしまった。
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2024.10.02 20:00心霊本当にあった北九州の「呪われた村」の怖い話が本当に恐ろしい! 馬の首、見てはいけない岩…実話怪談「血蟲の村」!のページです。呪い、怪談、怖い話、北九州、実話怪談、川奈まり子、情ノ奇譚、田舎などの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで