マリファナが吸える焼き肉屋が中央線沿いに!? 伝説の大麻専門誌『BURST HIGH』元編集長が激白した本物の「マンチー企画」

――編集者と小説家の黄泉比良坂を彷徨う「BURST」元編集長・ ピスケンこと曽根賢の“死ぬまで忘れられない体験”を綴る連載「無軌道狂気の回転男」シリーズ

★今、若者の間でバックナンバーが高額で売買されているという伝説の大麻専門誌『BURST HIGH』の思い出を編集長が激白その3★

<その1:雑誌誕生まではコチラ>

<その2:編集に関わった人々の話>

<その3:創刊前夜>

マリファナが吸える焼き肉屋が中央線沿いに!? 伝説の大麻専門誌『BURST HIGH』元編集長が激白した本物の「マンチー企画」の画像1


 今回は『BURST HIGH』における、馬鹿な「マンチー企画」の思い出を語ってみたい。

 専門誌の編集長だったくせに、その言葉の由来は知らないが、マンチーとはざっくり言って「大麻を吸って大食に走る状態」の形容句である。

 経験すればわかるが、大麻を吸うと「舌」が変わる。飲食物が物凄く旨く感じるのだ。特に甘いもの辛いものジャンクなものが、素面の舌では決して味わえない魔界の旨味に変わるのである。ゆえに当然食欲が増進し「マンチー」になるのだ。だからこそ、食欲のない癌患者などに「医療用大麻」が処方されるわけだ。

 100円で買える、チョコやポテトチップスやピザやフライドチキンやハンバーガーやアイスやドロップが、たちまち5つ星料理となるのだ。しかしこれは舌が鋭敏となるわけじゃなく、いい方向へ舌が馬鹿になるだけなのであるが。

 ちなみに友人のジャンキー・グルメ作家Gさんは、マリファナを吸ったら決して旨いものを食べないという。なぜなら結局、ジャンクなものと本当に旨いもんが、同じレベルの味に感じられてしまうからだと。

 確かに。そのときは何を口にしても半端なく旨いんだが、翌日になればそれぞれの味の違いをすっかり忘れてしまうもんだ。こないだも、友人の家へ高価なラザニアを持って遊びにいったのだが、煙に巻かれた途端、1人でそのラザニアを食い尽くしてしまった。しかし醒めてみれば、そのチーズやミートソースが「サイゼリヤ」のそれとどう違っていたかをまったく思い出せないのである。貧乏性の私は「もったいない」と、さめざめと泣いた始末であった。

 とはいえ、「その場限りであれ、旨きゃいいだろ」という考えも正しいと思う。マリファナの匂いを髪や服からぷんぷんさせて高級レストランへ行くわけもないのだし。ましてやその場で吸える食いもん屋があるわけもない

「いや、ありますよ」

 と、ライターXが企画を持ち込んできた。

 で、たちまち「東京いい店吸える店」という連載が始まったのであった。

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