北九州「呪いの村」で起きた本当にあった怖い話! 呪われた家、消える家族、殺人、そして死…「血蟲の村」川奈まり子の実話怪談!
作家・川奈まり子の連載「情ノ奇譚」――恨み、妬み、嫉妬、性愛、恋慕…これまで取材した“実話怪談”の中から霊界と現世の間で渦巻く情念にまつわるエピソードを紹介する。
<川奈まり子出演のイベント情報>
9月3日 (火) 19時~@青山ブックセンター
川奈まり子×松原タニシの「作り話ではない不思議な怖い話」トークイベント
詳細はこちら→http://aoyamabc.jp/event/ikai/
オンラインチケット→ http://xc528.eccart.jp/w429/item_detail/itemCode,E190903/
【二十六】血蟲の村(後)
斎川美津子さんの母(東北地方の巫女の家系出身だという)が『血蟲の呪い』と呼ぶ、一家に災いをなした呪いがかけられた発端は「家」だった。
美津子さんが小学6年生の頃に、彼女の両親は家を新築することにした。
それまで住んでいた家を取り壊して建て直すのではなく、集落内の別の所にまた新しく家を建てることにしたのだ。
この辺りでは「宮柱」と呼ばれる千年以上の歴史を持つ社家の一族の例に漏れず、美津子さんの父も集落内にそれなりに広い地所を有していた。
そこで、住み慣れた家で生活を続けながら、新しい家の竣工を待つことにしたわけだ。建設予定地は徒歩圏内だったから、進捗状況を見に行ったり、工事作業員の人々に差し入れを持っていったりすることも容易に出来る。美津子さんと姉が転校する必要もない。
地鎮祭は滞りなく行われた。この頃までは美津子さんたち家族は、ただもう、新しい家の竣工を楽しみにしていただけだった。父が祖父母から継いだ家は古く、現代の生活にマッチしているとは言えなかった。今度の家は住み心地を重視したモダンな建築だから、引っ越す日を4人全員が心待ちにしたのである。
やがて上棟式の日がやってきた。
このときまでに、美津子さんの母は、家の建築を任せた大工の親方――工務店の社長――に対して不満を持つようになっていた。
というのも、彼女が建設現場に労いに行くと、いつも親方は酔っ払っており、しらふでいたためしがなかったのだ。
美津子さんの母は、生来、生真面目で規律を重んじた。そういう人の常として、他人に対しても厳しかった。
従って当然この親方に対して嫌悪感を抱かざるを得なかった。
それにまた、彼女は真面目な性質だから、親方があんなようすでは作業員に示しがつかず、その結果、工事が杜撰になる恐れもあるし、第一、怪我でもされたら……と、ひどく気を揉んだ。
しかし親方の工務店は、この集落では老舗中の老舗であり、親方自身もルーツを辿れば宮柱の一族よりも古くからこの地に根づいていた杣人に辿りつくため、角を立てるようなことはおいそれとは出来ない。
それに、親方は粗野な雰囲気を漂わせる男であり、怒らせたらどうなることかと思うと、彼女が自ら動くことには躊躇があった。
そこで夫に「何かひとこと言ってやってくださいよ」とお願いしたのだが、曾祖父母の代よりもっと昔から地縁で繋がった相手と揉めたくないのは、美津子さんの父も同じか、それ以上だった。
また、父自身は新しい家の建設現場を訪れたことがなかったため、親方が仕事中に酔っ払っているところを目撃していなかった。
そこで彼は、妻の訴えを聞き流す方を選び、「早く親方に注意してください」と急かされるたびに適当な理由をつけて逃げ回った。
――そのうち上棟式を迎えることになってしまったわけである。
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