“人工進化”実験で、遺伝子操作ハエ「スーパーフライ」爆誕!他生物の進化の過程を丸ごとトレース、代償も
ホワイトマン氏らが行なったのは、ショウジョウバエの遺伝子を操作し、毒への耐性を獲得するまでの“進化”を人工的にトレースする研究である。実際、オオカバマダラの遺伝子研究では、同様の過程を経て毒への耐性を身につけたと考えられている。
ただ、トウワタを食べられるようになったショウジョウバエは、それと引き換えに新たな欠点も獲得してしまった。正常なハエは遠心分離機に数秒かけても少しふらふらするだけですぐに元に戻るが、3つの変異を持ったハエは回復に数分の時間がかかったのだ。
ホワイトマン氏によれば、オオカバマダラはトウワタへの耐性を獲得した代わりに病気や怪我からの回復に時間がかかるという。このことは、突然変異による特異的な能力の獲得に、何らかの“コスト”が必要となる可能性が高いことを示している。
遺伝子編集技術を用い、ショウジョウバエに別種の生物の食性を獲得させる“人工進化”実験が成功したのはこれが世界初だといい、論文は10月2日付で世界的な科学誌「Nature」に掲載された。これまでは細胞レベルでしか検証できなかった進化の過程を、生きた生物を使って研究できるようになったことは画期的であり、今後様々な応用が見込まれるだろう。とはいえ、ホワイトマン氏が指摘する“コスト”の存在は不気味であり、どうか慎重に研究を進めてほしいものだ。
参考:「Daily Mail」「New York Times」「UC Berkeley News」「Nature」ほか
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