日本人はナゼ名誉白人なのか、歴史の裏で暗躍した死の商人と全員ゴルゴ13な特殊部隊ベイリーズ騎士団の大活躍

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デルヴィル森の戦い当時の塹壕。画像は「Wikipedia」より引用

■デルヴィル森の悪魔

 怖い話定番の「姿を見た人は全員死んでる」に対して、「見た人が全員死んでるのになんで知ってるの」ってよくツッコミが入りますが、間接的な観測によって「見た全員死んでる」が認知されたケースがあります。第一次世界大戦中、フランス北東部デルヴィルの森に住んでいた「デルヴィル森の悪魔」です。

 この戦場では、塹壕から一瞬でも頭を出せば、遠距離からでも一発でヘルメットごと頭を撃ち抜かれました。つまり、姿を見た本人はその瞬間に殺されるけど、頭を撃ち抜かれた死体を見た人が伝承を残したわけです。

 食事係が缶詰を投げたら、缶詰が塹壕の穴よりも上に出た一瞬で撃ち抜かれて、銃弾が貫通した缶詰が落ちてきた……とか実話なのかよくわからない話もあります。

 この悪魔の正体こそ、ダイヤモンド王ベイリー準男爵の私設特殊部隊です。全員がゴルゴ13というわずか24人の隊員で、デルヴィル森の正面に展開していたドイツ軍1万人の戦死者のうち3千人を殺傷しています。南アフリカ軍もドイツ軍と同じぐらいいたはずなんですが、なぜか戦死者の3割を24人が殺しているという極端なことになっています。

 私設特殊部隊側の戦死者が6人なので、キルレシオ500対1という漫画のような実話……。

 24人のうち名前が判明しているのはかのウィリアム・ネヴィル・メスベン隊長1人だけで、後はどこの誰だったのか正体不明というか、ベイリー準男爵が部下に丸投げした結果、ベイリー準男爵と直接話をしたことがあるのがメスベン隊長だけで、その記録しか残っていないのです。当時の英国貴族によくある、部下の部下が誰なのか覚えようともしない、知る気もないという態度のせいではないかと思われます。

 当時の南アフリカ軍の人種構成を調べてみるとほとんどがボーア人、つまり欧州から南アフリカに移民した白人層でした。人種構成比では白人が少数派にもかかわらず、黒人の軍人が見事にいないという偏った構成なので、ベイリー準男爵の私兵もほぼ白人だった可能性が高いと考えられます。

■悪魔が使ったロマン武器

 この部隊が使っていた銃は、大富豪が私設特殊部隊のために特注でコスト度外視で作らせた百発百中の狙撃銃というロマン武器……三井物産が用意した例の日本製の銃、38式歩兵銃の輸出用ブリテッシュカスタムモデルと呼ぶべきもので、三井が独自に改良した特殊弾薬を使用していました。

 当時日本では、イギリス軍標準の7.7mmブリティッシュ弾の製造を行っており、これを日本軍も使用していました。その強化弾薬として開発された特殊弾薬なのですが、日本軍は採用せず余っていたものを南アフリカの大富豪ベイリー準男爵に38式歩兵銃ブリテッシュカスタムと一緒に売りつけたところ、24人で3000人を倒す大戦果を上げてしまい、イギリス軍が1938年にMk.8として正式採用したという珍品です。

「VIIIZ」と刻印された弾薬は良質な弾道係数を持つ特殊な形状の弾頭と燃焼温度の高い特殊な組成の火薬により非常に高い威力を発揮しましたが、銃身にかかる負荷も大きく銃が損傷するリスクも高くなりました。それでも兵士はこの強力な弾薬を欲しがったといいます。

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 つまり、使うと銃が損傷するリスクが高いけど、驚異的な命中率と威力が発揮できるというロマン弾薬です。

 火薬の燃焼温度が高いため、連射するとあっという間に銃身が真っ赤に加熱するため、水冷式の冷却装置を持つ重機関銃専用弾薬としての正式採用でした。

 ちなみに、同時期にガリポリの戦いに参戦していたオーストラリア陸軍も、三井物産から仕入れた日本製の武器を使用していました。オーストラリア陸軍が使用していたのは、38式歩兵銃やジャパニーズ迫撃砲という名前が付けられた武器で、こちらはオーストラリア戦争博物館に現存しています。

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