脳の「意識と物質のミッシングリンク」解明か? 新たな電気信号を発見!

 人間の脳で新たなタイプの電気信号が発見されたという。しかもそれはこれまで他の動物では見つかっていない人間固有のもので、人間の知性や意識といったものを説明する可能性があるそうだ。科学ニュース「Live Science」(1月8日付)他が報じている。

Unique Brain Signal Just Discovered. And It Might Make Us ‘Human’ (Live Science)

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画像は「Live Science」より引用


 今月3日付で科学誌「Science」に掲載された論文によると、新たな脳信号が発見されたのは大脳表面に広がる大脳皮質である。人間の大脳皮質の構造は齧歯類などの実験動物とは異なり、層の厚い部分が存在することがわかっている。大脳皮質の近くは思考、記憶などの高次機能を司る場所であり、知性など人間固有の能力を解明する上で重要な意味を持つ部位である。

 今回、独ベルリン・フンボルト大学などの研究者らが注目したのは、大脳皮質の第2、3層に存在する神経細胞(ニューロン)である。ニューロンは複雑に分岐した樹状細胞で、電気的活動を介して別のニューロンに情報を伝達する。このニューロンの長さを計測すると、人間の脳はげっ歯類の脳よりおよそ2倍長いことがわかっている。

 論文著者の一人、マシュー・ラーカム氏によると、ニューロンの長さの違いは「電気信号を2倍遠くまで送らなければならないことを示す」という。もしげっ歯類と人間との間で電気的特性に違いがないならば、同じシナプス入力でもその力がかなり弱くなってしまうことになるのだ。そこで彼らは人間のニューロンの電気的特性を明らかにすることを目指したのである。

 この作業は非常に困難だったという。研究者らはまず、てんかんや脳腫瘍で手術を受けた患者の脳組織サンプルを入手した。サンプルの脳細胞が生存できるのは2日程度なので、彼らは24時間ぶっ続けで実験と観察を続け、そのニューロンが発する電気信号の特徴をとらえることに成功した。

 刺激を受けたニューロンから発する電気信号は通常ナトリウムによって制御されるが、今回観察されたのはカルシウムによる制御だった。カルシウムによる制御ではナトリウムよりも50〜100倍長く信号が続いたといい、これまで知られていたものとは全く異なって見えたそうだ。

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