【新型コロナの感染】最もヤバイのは「手を噛まれる」ことだった! 最凶の攻撃「ヒト咬傷」を亜留間次郎が解説…骨が溶けた例も!

【薬理凶室の怪人で医師免許持ちの超天才・亜留間次郎の世界征服のための科学】

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画像は「Getty Images」より引用

■咬まれたら一番ヤバイ動物は“人間”

 動物に咬まれた時に怖いのは、傷その物ではなく感染症です。最も恐ろしいのは発症したら死亡率100%と言われる狂犬病ですが、現在の日本では撲滅されているのでこの病気の心配はありません。

 では、全ての動物の中で咬まれると最もヤバイ感染症を引き起こす可能性がある動物は何でしょうか?

 それは人間です。日本で一般的に咬まれる可能性のある動物で言えば、人間、猫、犬の順番でヤバイです。

 医療従事者の世界では「ヒト咬傷」のヤバさは常識で、ちゃんとガイドラインもあります。なぜ医療従事者がそこまでヒト咬傷をヤバイと思うのかというと、病院に勤務していても猫や犬に咬まれることはありませんが、患者に咬まれることは結構多いからです。

■咬まれたらヤバいのは…

 咬まれると一番ヤバイ場所はです。なぜ手なのかというと、咬まれた手を握ったり開いたりすると細菌が創傷の内部に入り込み、どんどん体内奥深くへと侵入していくからです。つまり、自分で自分の傷口を抉って悪化させる悪循環に陥りやすい場所だからです。

 人間に咬まれてから、手や指が全体的に腫れあがり、指の関節が曲がった状態になって痛くて動かせなくなったら、すでに化膿性腱鞘炎にまで悪化しているので、すぐに病院に行ってください

 ヒト咬創→化膿性腱鞘炎→化膿性骨髄炎の流れに乗ると瀕死になり、最悪の場合は死にます。

 病院では、咬まれた傷口の洗浄と消毒を行い、予防のために抗菌薬を1日3回飲ませます。時間と共に自然に治って行けば良いのですが、悪化してしまいさらなる治療が必要になった場合は、抗菌薬を点滴します。とにかく抗生物質で悪い細菌をジェノサイドするしかありません。

 それでもダメな場合は整形外科の出番です。化膿している部分を手術して、腱の周囲をきれいにする処置が必要です。処置が遅れると炎症が広範囲に波及し、感染症はどんどん悪化していきます。

 抗生物質+外科手術のコンボ技でも治らなくて悪化を続けた場合、骨髄の中にまで菌が入り込む化膿性骨髄炎になる危険があります。ここまで悪化してしまうと、最悪の場合は死ぬし、死ななくても全治1ヶ月以上の入院治療を必要とする重傷になります。

 さすがに現代日本の医学なら、このような最悪の感染症になっても死ぬ確率は非常に低いですが、公衆衛生が発達しておらず、歯が汚い人が普通で抗生物質が無かった戦前や、今ほど感染症治療が発達していなかった昭和中期ごろまでなら死んでもおかしくありません。

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