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【動画】本物の反重力装置をロシア人研究者が発明！「これはガチ」物理学の専門家が徹底解説！

2020.03.28 16:00

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　実はコガネムシなどの硬い殻を持つ昆虫では、もっとも比誘電率が高いのは羽根ではなく、羽根をカバーしている殻のほうなのだ。薄い羽根を高速で動かすと、電離した空気のプラスが羽根に集まるが、静電誘導で殻のほうにマイナスの電気がたまる。殻にたまった大量のマイナスが地表に対して反発力を発揮する。これこそ昆虫が飛べる理由だ。

　グレベニコフ博士はある種の甲虫の殻を集め、装置を組み立てた。博士を乗せた装置は高速で飛翔したといわれる。反重力装置を製作したチェクルコフ氏は、グレベニコフ博士の原理を応用したと動画の中で述べている。しかし、筆者の予想では、グレベニコフ博士の飛翔装置はうまく飛べなかったと思う。この飛翔装置には動力がない。重力が質量から生み出されるのであれば、反重力もエネルギーなしで動作するかもしれない。しかし重力は動力を必要とする現象だ。またチェクルコフ氏の反重力装置、金属円板では、電気的反発力とは異なる原理が働いているからだ。

■チェクルコフ氏の反重力装置が本物である理由

　チェクルコフ氏の反重力装置の構造は図のようになっている。真ん中の金属板の上下に回転する金属板がある。下側の回転する金属板には磁石が等間隔で固定されている。回路図から、真ん中の金属板には数万ボルトの交流電圧がかかっている。上の金属板には1000V程度のプラスの電圧、下の磁石のついた金属板にはマイナスの電圧がかかっている。どうやら、この仕組みが重力を制御するなんらかのメカニズムを生み出しているようなのだ。

　反重力装置としてはジャイロ効果を利用した浮上装置が有名だが、明らかに違う。何が違うのか？　反重力を謳うのであれば重力とは何かを明らかにしなくてはいけない。だが、ほとんどの反重力装置製作者は、重力の本質を理解していないのだ。少し長くなるが、重力がいかに誤解されてきたかを解説してみよう。

■重力の本質とは？

　重力は17世紀、ニュートンによって発見されたとされる。万有引力は、宇宙のどこでも重力は同じ力であり、物の量に比例する、という２つの重要な要素からなる。ニュートンはガリレオが観測した月の軌道を計算すると地上の重力と同じ結果になることを示した。宇宙と地上の重力は同じとされたのだ。しかし、ニュートンの万有引力がプリンキピアで知られるようになると、ドイツの知識人が激しく反発した。ドイツ人、ライプニッツの積分をニュートンが盗用した争いのせいもあったが、重力―引力を受け入れがたい事情があった。

　ひとつはニュートンの万有引力は、どんなに離れていてもほぼ一瞬で伝わる遠隔作用だった。当時、近代科学を切り開いたデカルトによれば、力の伝達は物と物が接触して行われる近接作用でなくてはいけなかった。現代物理学も近接作用を採用している。また、ケプラー、ガリレオなどの天文家は、惑星が引き合うと同時に、ぶつからないために反発力を持つと考えていた。万有引力は反発力―斥力を無視したのだ。

　当時のドイツの知識人の筆頭だったカントは、特に強くュートンの万有引力を批判。「ニュートン氏の万有引力は、そのままでは宇宙をひとつの塊にしてしまうでしょう」と「星雲論」のなかで指摘した。カントといえば哲学者として知られるが、自然科学に関する著述も多い。18世紀ごろまで、哲学と科学にははっきりとした境界がなかったからだ。カントの万有引力に対する批判は、当時の知識人を代表する意見である。