陰謀論はCIAによって発明されたという陰謀論 ― 新型コロナ流行の今知っておくべき「陰謀の歴史」

 新型コロナウイルスの流行でも注目される「陰謀論」。この陰謀論という言葉の出現の背後に陰謀があるというから興味深い。陰謀論という言葉がこれほどメジャーになったのはCIAの陰謀だという“陰謀論”が登場している。

 

■“陰謀論”の登場はCIAの陰謀なのか

 偶然や不可抗力によって起きた出来事や事件を、実はある人々が何らかの目的で念入りに画策した謀略であると考えるのが“陰謀論(conspiracy theory)”である。

 オーストラリアメディア「The Conversation」の記事によれば、陰謀論という言葉自体は19世紀から語られはじめたということだが、今日のように広く世の人々に知れわたるようになったのは、やはり「JFK暗殺事件」をきっかけにしてのことだという。

「The Conversation」の記事より

 記事によれば“陰謀論”は、CIAがジョン・F・ケネディ暗殺事件(1963)の「オズワルド単独犯行説」に疑問を呈した人々を形容する言葉として1967年に発明されたのだと説明している。

「JFK暗殺事件」は1964年9月に公表されたウォーレン委員会の調査報告書によって、リー・ハーヴェイ・オズワルドによる単独の犯行であると結論づけられているのだが、人々の中には組織犯罪であると疑う者や、CIAが関わっているのだという見解を述べる言説も今なお根強い。そこでCIAは、そうした人々を非難する意味もこめて“陰謀論者”であるとレッテル貼りをしたというのである。

 この陰謀論の“陰謀論”には2つのバージョンがあるという。より極端なバージョンでは、CIAが明確な意図を持って、文字通り「陰謀」と「理論」という言葉を組み合わせ、陰謀論という言葉を作り上げたのだと説明している。よりマイルドなバージョンは、この用語は以前から存在したことを認めるものの、CIAが意図的に否定的な意味合いを与えて政治的宣伝のツールに変えたと主張している。“陰謀論”という言葉自体は19世紀からあるので、後者のバージョンのほうがもっともらしく聞こえ、より多くの支持を集めているようだ。

 いずれにしてもCIAの“陰謀”だとする根拠は、「New York Times」が情報公開法に基づいて要求した後、1976年に公開されたウォーレン委員会報告書の批判に関するCIAの公式文書にある。またそうした“陰謀論者”たちに、議論の余地のある議題を提案するものでもあった。例えば仮に組織的犯行であるのだとすれば、オズワルドのような精神的に不安定な者を実行犯に起用するのだろうかといった問題提起だ。

「The Conversation」の記事より

「陰謀論は、例えば、リー・ハーベイ・オズワルドが私たち(CIA)のために働いたと誤って主張することによって、私たちの組織にしばしば疑念を投げかけました」(報告書より)

 しかしながらこの報告書の文言では「陰謀論」が今日持つのと同レベルの否定性までは獲得していないようにも思える。とすればCIAの陰謀だとする“陰謀論”をそのまま鵜呑みにはできないかもしれない。